2016年10月19日
おさらい まだ間に合う!あいちトリエンナーレ
ロングランのあいちトリエンナーレも
気がつけば今週末で閉幕
とかく現代美術というと、難解なイメージがつきまとうのか「なんだかよくわからん」と、敬遠している人も多いのではないか。
下の日本女性新聞の記事は、地元に居ながら敬して遠ざけている人や、県外の人にもわかりやすく書いたつもりだが…果たしてどうか。
そんな訳で、今回は少し長くなるがまだ間に合うため、おさらいを兼ねて記事を再構成した。

日本女性新聞は昭和25年「中央婦人新聞」として創刊
昭和34年朝日新聞東京本社と販売提携(現在は解消)を機に
日本女性新聞に改題。脚本家の早坂暁など異才の編集長を輩出。
以来、いけばな界唯一の全国紙として親しまれている。
美術評論家三頭谷鷹史さんの「前衛いけばなの時代」は
女性新聞に連載されたもので現在は「女たちのいけばな」を連載
取材のため一時休んでいたが戦後編で再開
伝説の女流作家半田唄子の登場で目が離さなくなった。
「あいち」のスタートは
ポスト愛知万博
私の地元愛知県で開催されている「あいちトリエンナーレ」が面白くなってきた。
「あいち」は2010年、ポスト愛知万博を担ってスタート。最先端の現代美術をはじめ、ダンスやオペラを上演する舞台芸術や映像プログラムなど、多様な世界のアートの現在を一堂に会して紹介。今回も38の国と地域から119組のアーティストが参加。
会場も初回の名古屋市に加えて前回から岡崎市、今回は豊橋市も加わり、「虹のキャラバンサライ/創造する人間の旅」をテーマに、天下取りの舞台となった尾張と三河をアートでキャラバンする趣向だ。
ちなみに、お金をかければいいというものでもないが、中日新聞によると、事業費は約13億6000万円、瀬戸内国際芸術祭が約10億円、横浜トリエンナーレが約9億3000万円、越後妻有アートトリエンナーレが約6億2000万円というから、「あいち」の力の入れようと規模が理解いただけるのではないか。
「あいち」の反撃がはじまった
そんな無敵?の「あいち」にも泣き所がある。残念ながら「瀬戸内」「横浜」「越後妻有」に比べて知名度が今一つというのが大方の見方ではないか。
内向きでプレゼン下手という県民性もあるが、一言で言えば有名なアーティストの顔見世興行で、「あいち」の顔が見えないという本質が見透かされていたからではないか。

あいちトリエンナーレの最大のライバル瀬戸内国際芸術祭のパンフ。
見どころ、アクセスなどツーリストの目線で編集され
アートに関心のない人でもこのパンフ一つで
アートの島々を巡ることができる優れもの。
残念ながら「あいち」のパンフはイメージ先行で不親切
「あいち」は紙媒体を無駄と思っているのではないか。
一事が万事でマネージメントが下手。

朝日新聞の「ひと」で紹介された港千尋(8月8日)
新たに芸術監督に就任した港千尋が最初に問われたのもこの問題で、朝日新聞によると「(陶芸が進んだ土地柄について)技芸の場所であることは確か。ただ技芸を紹介するためのトリエンナーレではない。現代美術の最先端を見せるのが最大の使命。その上で愛知独特の材料や風景を新たな表現で主張する作家が入ってきてもおかしくない」と語ったそうだが、名古屋、岡崎、豊橋の3会場を巡った感想を一言で言えば、この港千尋の言葉をキーワードにすると分かりやすい。
地味系だが、アーティストの背景にある土地の文化・歴史を考えさせる作家が多く、愛知という風土への回答というよりも挑戦状をたたきつけられたようなもので、芸術監督もこのぐらい戦ってくれると気持ちがいい。
もう「あいち」らしさがないとは
言わせない
刺客となったのは地元愛知の味岡伸太郎と柴田眞理子の2人。
土の変化と美しさに魅かれて土を描き続けるデザイナーの 味岡伸太郎(豊橋)は、県境を豊橋から西に回り、伊勢湾を望む木曽崎まで1500㌔の行程から70カ所の土を三層分採集し、会場で採集順に展示したが単なる標本展示ではない。三河の変化に富む赤系の土から肥沃な尾張の土が見事なグラデーションとなって連続。(写真下)

余談に逸れるが味岡はいけばなにも造詣が深く、作品集「花頌抄」は2006年3月から翌年2月までの⒈年間、採集した草花を活け続けた記録で、いけばなは私たちが考えているよりもはるかに広くて深い。
一方、陶芸家としてただ1人ノミネートされた瀬戸の柴田眞理子は、岡崎会場の旧石原邸の納屋に、古い転写紙で小鳥や花模様を絵付けした新感覚の陶を持ち込んだ。(写真下)

2人に共通するのは風土への深い眼差しと洞察力で、もう「あいち」らしさがないとは言わせない。
白眉は岐阜市出身の大巻伸嗣。愛知県美術館の床一面を無数の花や鳥の模様で彩った大巻のインスタレーションは、美の聖堂に足を踏み入れたような衝撃で言葉を奪った。(写真下)


10月12日発行 朝日新聞より転載
今回、大巻は空気の流れによって巨大な布が舞う作品を栄会場で。高さ7㍍、直径最大4㍍の巨大な花瓶のオブジェを豊橋会場で公開したほか、「あいち」のシンボルカー、プリウスと会場間を無料で運行する人力の三輪自転車「ベロタクシー」のラッピングをデザインするなど八面六臂の大活躍で話題を独占。
札幌を拠点に活動する端聡は、薄暗い旧明治屋栄ビルの一室でゾクゾクするようなインスタレーションを公開。強力な光源に落ちた水滴は一瞬にして水蒸気となり、やがてまた水滴となって循環する。美には魔物が棲むというが端聡のインスタレーションは、悪魔の儀式を目の当たりにとたような衝撃で足が竦んだ。(写真下)

このほか広島や福島などで、被爆した樹木の切り株に刻まれた「記憶」をフロッタージュした岡部昌生など、「あいち」のアーティストが選り取り見取り。
「あいち」が一度で二度美味しい理由
最期に地域会場を簡単に記すと、「五万石でも岡崎様はお城下まで船が着く」と詠われた徳川発祥の岡崎は旧石原邸がお薦め。
大化以前「ほの国」と呼ばれた東三河の中心都市豊橋は、懐かしい市電に乗って巡るもよし、ぶらりぶらり歩いて巡るもよし。中でもお薦めは、農業用水の上に建てられた長さ800㍍に及ぶ板状建築物群「水上ビル」の作品群。(写真下)

戦後のヤミ市から派生した商店街がルーツという猥雑性がアーティストを誘うのか、ブラジルのリオを拠点に活動するウララ・リマは100匹の小鳥を部屋に放し飼い。「生き物を作品にした」と、市民からクレームがあったというから「水上ビル」は何が起きてもおかしくない。


10月18日発行 中日新聞より転載
「水上ビルは何が起きてもおかしくない」と書いたが
その後、約20羽が死んだり逃げたりして物議をかもした挙句
今度は「種の保存法」で販売や譲渡が禁止されている
小鳥が含まれていることがわかって社会問題になるなど
水上ビルは最後までやってくれる。
ざっと開催中のあいちトリエンナーレを概観したが、グローバルな名古屋と三河の文脈に溶け込んだ二つの地域会場の対比は、一度で二度美味しい「あいち」の魅力の一つ。この機会に、アートを旅の宿に尾張と三河を巡ってみてはいかがですか。
泣いても笑っても
今週がラストチャンス
穴場は写真の未来形をテーにした岡崎康生会場「シビコ」の
コラムプロジェクト。(写真下)



私的な感想で恐縮だが、空間の有機的な支配力は現代いけばなのインスタレーションと重なり足が止まってしまった。
参考までに
こちらは33年前に発表した
私のインスタレーション↓

のちにクリスト展に関わった私は、名古屋駅にクリストとジャンヌ・クロードを迎えた。
名刺代わりに渡した私の作品集を見ていたクリストが、突然「かとうの作品を見たいから案内せよ」とリクエスト。「もう消滅して作品はない」と私が答えると、「オー、クレージー」とジャンヌ・クロード。
クリストのアテンドとして同席していた水戸芸術館の学芸員が「クリストが日本人でククレージーといったのはかとうさんが初めて」と目を丸くしていたが、現代いけばなは蜃気楼のようなもので証明するものがないのが残念。
2016年09月14日
あいちトリエンナーレ豊橋会場は電車が便利
昨日は
あいちトリエンナーレの
豊橋会場と岡崎会場に走ったが
これが意外と重労働で
見れたのは豊橋のみ
詳しくは疲れているため
簡単にするが
アクセスは公共交通機関がベスト
メーン会場の「穂の国とよはし芸術劇場PLAT」
「水上ビル」は豊橋駅から徒歩で行ける距離
他の市内会場も市電を乗り継げば簡単
ところが私は車で行ったため
道に迷ったり寄り道をしたりしてグッタリ

穂の国とよはし芸術劇場PLATに設置された
大巻伸嗣さんの巨大な光の花瓶のオブジェ

こちらはジョアン・モデ(ブラジル)の作品
会期中、みんなで糸をつないで
もう一つの景色を編み出すというもの
名古屋市美術館、御崎の籠田公園にも
同様のコンセプトで作品が展示され
最後は愛知県藝術文化センターに集結して
完結するというから
どんな景色(シンフォニー)が誕生するのか
楽しみ




ある意味
もっとも豊橋らしさが見られるのが
用水路の上に建てられた4階建ての「水上ビル」の作品群
延々と続く商店街はレトロ感満載で映画が撮れそう
写真のインコは作品の重要な参加者?

アーティストはブラジルのリオを拠点に活動するウララ・リマ
4階すべてを仮設の森にして
百羽の小鳥を放し飼いしたもので
使わなくなったトイレにもインコがいっぱい
もし、夜一人でこのビルに入ったらどうか
ヒチコックの「鳥」を想像すれば
私の言いたいことが理解いただけるのではないか
トリエンナーレは
このぐらいにして↓

夜は寶榮座の紙芝居の村歌舞伎の稽古があるため
岡崎はあきらめて蒲郡経由で帰豊
途中豊川放水路で釣りをしている
おっさんを見つけた
水辺に降りていくとバケツの中は
10センチほどのハゼでいっぱい
今年も竿を出せなかったが
聞くと10月いっぱいは大丈夫とのこと
そのころにはイワシ並みのハゼも釣れるというから
私は何をやっているのやら

新東名の岡崎SAで
「天むす」と
藤田屋の「大あんまき」を買って
寶榮座に急いだが
こんな状態で
自分の作品ができるか心配
2016年09月03日
差別化への挑戦がはじまったあいちトリエンナーレ
過日、地元の愛知で開催中の
「あいちトリエンナーレ」に足を運んだ
あいちトリエンナーレの経緯は省くが
横浜トリエンナーレ、越後妻有アートトリエンナーレ、
瀬戸内国際芸術祭と並ぶ国内最大級のアートイベントの一つで
今年で3回目を迎えた

書店で販売されている公式ガイドブック
定価1,300円(1204円+税)
「あいち」の特徴は
最先端の現代美術をはじめ
ダンスやオペラを上演する舞台芸術や映像プログラムなど
多様なアートの現在を一堂に会して紹介
乱暴な言い方をすれば「アートのオリンピック」のようなもので
今回は、38の国・地域から119組のアーティストが参加

あいちトリエンナーレの記事は
中日と朝日が競っているがこんな競争なら大歓迎
記事は7月6日発行の中日新聞より転載したものだが
「あいち」の経緯と概要と課題
国内の主な芸術祭との比較表を提示するなど
切り口がシャープ
ちなみにここでは触れないが
舞台芸術(パフォーミングアーツ)には
サーカスやフラメンコ、民俗舞踊など
コアなファンにはたまらないプログラムが満載
「映像プログラム」には
世界各地で活躍する作家のドラマや
ドキュメンター、アニメーションの話題作や最新作が
上演されるというから国際映画祭のようなもの
詳しくは公式ガイドブックが市販されているため
最寄りの書店でどうぞ

こちらは国際展のフリーチケット
さて、足を運んだと言っても
会場が尾張の名古屋、西三河の岡崎、東三河の豊橋の3都市と広域
1日で見られる距離ではない
私が見たのは未だ名古屋会場のみだが
都会の中の移動は里山や里海と違ってハード
そんな訳で順路は中核会場の愛知県美術館を起点に
予め見たい作品をマークしてピンポイントの移動をお薦め

移動のサプライズ
今回の中核アーティストの大巻伸嗣さんが
プリウス(写真)と人力のベロタクシーを
トリエンナーレ仕様にデザイン
プリウスは展示のみだが
ベロタクシーは土曜日・日曜日・祝日に運行するため是非
但し順番待ちになることが多いためご了承を
料金は無料、但し入場券の提示が必要
「あいち」の
差別化への挑戦がはじまった
あいちトリエンナーレの端緒は
ポスト万博という記事を読んだことがあるが
残念ながら後発の「あいち」は内向きな土地柄とプレゼン下手で
苦戦を余儀なくされてきたというのが
大方の見方(評価)ではないか
いろんな意見はあるが
一言でいえば「あいち」らしさの希薄に尽きるのではないか
アートイベントも生き残りをかけた時代である
もし、私が他の国際展の芸術監督になったとしたら
千年の歴史をもつ焼き物(クレイワーク)や
産業を支えるインダストリアルデザインなど
「ものづくりの文化」という土壌をスルーした「あいち」など
怖くない
このことについて
昨年4月1日付けの朝日の記事によると
今回芸術監督に就任した港千尋は
「技芸の場所であることは確か。
ただ技芸を紹介するための
トリエンナーレじゃない。
現代美術の最先端を見せるのが最大の使命。
その上で、愛知独特の材料や風景を
新たな表現で主張する作家が入ってきても
おかしくない。
ここでやるわけだから
考えてもいいと思っている」
と話している。

こちらが芸術監督の港千尋
8月8日発行の朝日新聞より転載
長々と引用したが
会場を一巡した感想を一言でいえば
この港千尋の言葉を
キーワードにすると分かりやすい
愛知という風土への回答というよりも
挑戦状をたたきつけられたようなもので
このぐらい戦ってくれると
気持ちがいい
最後に作品の一部を紹介



顔料で描いた無数の花や鳥で床一面を彩った
岐阜市出身の大巻伸嗣さんの作品
美は感動というが説明不要で
みんな無言
ガイドブックを開いていて気が付いたことだが
今回のトリエンナーレは大巻伸嗣、岡部昌生、森北伸など
一人で複数の会場を掛け持ち?しているアーティストがいる
トリエンナーレの顔を指名したようなもので
アーティストの差別化だが勇気がいる決断で拍手
最後に余談に逸れるが
現代いけばなの松田隆作や谷口雅邦が
この空間に挑んだとしたらどうか
確かに大巻さんの仕事も衝撃だが
一般の人が見たことのない有機的な空間が誕生したはず
知られていないことの損失で
ちょっと悔しい

こちらはこのブログでもイチオシしてきた
豊橋の味岡伸太郎さんの作品
県境を豊橋から西に回り伊勢湾を望む木曽岬まで
1500㌔の行程から70か所の土を三層分採取し
会場で採集順に展示したもの
「ただ技芸を紹介するためのトリエンナーレじゃない」と言った
芸術監督の港千尋の言葉を重ねると
この作品のトリエンナーレに占めるポジションが
理解いただけるのではないか
ちなみに豊田市内は小原地区の田代で2カ所
藤岡地区の白川の1カ所で採集
興味のある方はどうぞ

衣服を主題に装う西尾美也さんと
建築家ユニット403architecture[dajiba]による
観客参加型のプロジェクト
好きな衣服を自由に試着できるそうだが
人が身に纏うものの存在感は不思議

名古屋市美術館から炎天下
旧明治屋栄ビルまで歩いたがえらくて(方言かも)
腹がたってきた。もしこの作品に出合わなければ
絶対悪態をついたと思う
強力な光源に落ちた水滴は一瞬にして水蒸気となり
やがてまた水滴となって循環
悪魔の儀式を目の当たりにしたような衝撃に足が竦んだ
ガイドブックによると
作者の髄聡さんは札幌国際芸術祭の地域ディレクターを務め
大型のインスタレーション作家として知られているそうだが
世界は広い
ざっと
あいちトリエンナーレの印象を記したが
百聞は一見に如かず
是非お出かけを
2016年08月09日
アートの祭典あいちトリエンナーレ間もなく開幕
連日の熱帯夜とオリンピック中継で
寝不足になっている人も多いのではないか
加えて私は
農村舞台アートプロジェクトの
紙芝居形式による村歌舞伎
「絵本太功記尼崎閑居の場」の構成台本を
早く出演者に渡さないと流れてしまうため
三重苦でアタマが変になりそう
余談に逸れたが
3年に一度、愛知で開催される
国内最大規模の現代アートの祭典
あいちトリエンナーレの開幕まであと2日

8月2日発行の朝日新聞より転載
現代アートは
私の周りでも好き嫌いがあるようだが
地元にいてこんなチャンスを逃したら
もったいない!


あいちトリエンナーレは
「虹のキャラバンサライ
創造する人間の旅」をテーマに
名古屋、豊橋、岡崎の三都市を会場に
世界38の国と地域から100組以上の
アーティストが結集
内容は
最先端の「現代美術」のほか
ダンスやオペラを上演する「舞台芸術」
世界各地で活躍する作家のドラマ
ドキュメンタリー、アニメーションの話題作や
最新作を上演する「映像フェス」
と、贅沢の極み

テーマの「虹のキャラバンサライ」は
隊を組んで旅をする商人の宿を指し
「まちなか」や「美術館」や「劇場」を宿に見立てて
最先端のアートを求めて人が集う創造する旅を意味している
私もフリーパスの
前売り券を購入してスタンバイ↓

前売り券は会場で入場券と引き換えになるがお値打ち
私があいちトリエンナーレを推す理由

芸術監督は写真家で批評家の港千尋
何かとうるさい土地柄で
当たり障りのない有名人を起用する例を多く見てきたため
地味系の港千尋の名前を聞いたときは意外だったが
アートの現場を観察するリアリストで
選考者の慧眼に拍手
これまであいちトリエンナーレは
国内最大規模のアートの祭典の看板に偽りはないが
残念ながら妻有や横浜、瀬戸内に比べて
知名度が今一つというのが大方の見方ではないか
理由は全国主要8都市に住む人を対象に行った
「都市の魅力やイメージ」に関するアンケートで
名古屋がぶっちぎりの最下位になるなど
プレゼンが下手という県民性もあるが
有名なアーティストの顔見世興行で
「あいちの顔(個性)」が見えないという
本質的な問題を見透かされていたからではないか
当初から問題になっていたのが千年の歴史をもつ
愛知のアートの地場産業「焼き物」の位置づけで
使い方を誤ると両刃の剱になるため
問題が先送りにされてきた
朝日新聞小林裕子記者の記事によると
(陶芸が進んだ土地柄について)港千尋は
「技芸の場所であることは確か。
ただ技芸を紹介するためのトリエンナーレじゃない。
現代美術の最先端を見せるのが最大の使命。
その上で、愛知県独特の材料や風景を
新たな表現で主張する作家が入ってきてもおかしくない」
と、語ったそうだが
時代劇の大岡裁きのようなもので一件落着
公式ホームページや
市販のガイドブックに詳しいため省くが
この決断があいちトリエンナーレの芯に
「産土」とい生命を宿したのは自明の理で
豊橋の味岡伸太郎など
地元の歴史から発想したり
愛知という土地を深く掘り下げた
実力派アーティストが
メジャーデビューするなど必見!
2016年05月27日
味岡伸太郎の「花頌抄」は平成の花伝書
この夏
愛知県美術館をメインに
尾張の名古屋市内会場 と
東三河の豊橋、西三河の岡崎の三会場で
国内最大規模の都市型国際展
あいちトリエンナーレが開催される


15年4月1日発行朝日新聞より転載
注目するのは赤線で囲んだ箇所
私も当初から異議を呈してきた一人だが
加藤清之、金子潤(アメリカ在住)
鯉江良二、鈴木五郎、吉川正道など
愛知の特徴の一つである
地場アートの現代陶芸について
芸術監督の口から見解が示されたことで
この問題に終止符を打っても
いいのではないか
湊千尋芸術監督の見解は次の通り
「(愛知の陶芸について)技芸の場所であることは確か。ただ技芸を紹介するためのトリエンナーレじゃない。現代美術の最先端を見せるのが最大の使命。その上で、愛知独特の材料や風景を、新たな表現で主張する作家が入ってきてもおかしくない。ここでやるわけだから、考えてもいいと思っている」
で、白羽の矢が立ったのが
今回紹介する味岡伸太郎である
全国区的には無名かも知れないが
愛知では知る人ぞ知る実力派アーティストで
大地に根差した骨太のクレイワークは
愛知の「ものづくりの文化」の根源に越境
満を持しての国際展デビューである
今回、味岡さんは
愛知県美術館の最も広い空間の一つに
愛知の土で挑むというから
横浜トリエンナーレの「泥のドレス」で
鮮烈デビューした塩田千春以上の
話題になることは必至で
是非名前を覚えておいて欲しい
経緯は省くが
過日、その味岡伸太郎さんから
一冊の作品集が送られてきた
なんといけばなの作品集で初耳
まさに晴天の霹靂で絶句!

題字・装幀/味岡伸太郎
花頌抄(はなしょうしょう)
生花:味岡伸太郎
俳句:星野昌彦
写真:宮田明里
規格:A4版変形456ページ
発行/2007年11月30日
発行人/小坂晃子
編集人/味岡伸太郎
定価/15,000円(税別)
発行・販売/春夏秋冬叢書
(問合せ)
愛知県豊橋市菰口町1-43
☎0532-33-0086
http://www.h-n-a-f.com
e-mail:book@h-n-a-f.com
本書は味岡さんが
2006年から1年半をかけて
毎日生けつづけたという
1200点を越える「花」の中から
400点を厳選


生けられた「花」1点々に
俳人星野昌彦さんの
詠んだ俳句が添えられているが
「花と句」は互いに自立し互いに補い
単なる添句ではない

花の作品集は数多あるが
本書の白眉は巻頭の
味岡さんと星野さんの「花論」の対決
平成の「花伝書」が
いけばなの外で生まれていたのは迂闊
不明を恥じるしかない
私はこれまで
味岡さんの仕事に同じ匂いを
感じてきたがその理由が
初めてわかった
残念ながら「花」でも私の負け
兜を脱ぐしかない
2013年09月07日
向井山朋子+ジャン・カルマンに言葉は不要
もう大丈夫
多分大丈夫だと思う

松平徳川家の総氏神「伊賀八幡宮」
昨日はあいちトリエンナーレの岡崎会場に足を運んだ帰路
痛風のリハビリを兼ねて
松平徳川家の総氏神「伊賀八幡宮」
松平徳川家の菩提寺「大樹寺」
菅原道真を祀る「岩津天神」
名刹「真福寺」を巡ったがもう大丈夫
農村舞台の搬入制作もなんとかなりそうで
少し安堵
まあ、そんなことはいいが
岡崎会場の印象を簡単に
五万石でも
岡崎様はお城下まで舟が着く

岡崎会場のガイドマップ
マップの中央下のグリーンに彩られた場所が岡崎城
岡崎城の下を流れるのが
♪五万石でも岡崎様はお城下まで舟が着く♪
と詠われた乙川

岡崎会場のアーティスト一覧
私のお目当ては
向井山朋子+ジャン・カルマン
『FALLING』(世界初演)

アムステルダムを拠点に活動するピアニストで
ビジュアルアーティストの向井山朋子と
パリを拠点に活動する舞台美術家で照明デザイナーの
ジャン・カルマンが協働したのは
徳川家康が生まれた地に由来する康生町の
ショッピングセンター「岡崎シビコ」のクローズしたフロア

フラッシュを使用しなければ写真撮影はOKとなっているが
プロのカメラマンでなければ撮影は無理のため
朝日新聞の「朝日プラス・シ―」より転載
「FALLING」(フォーリング)と名付けられたこの作品について
美術系のアーティストは賛否が分かれると思うが
越後妻有の「最後の教室」に言葉が不要なように
向井山朋子+ジャン・カルマンの「FALLING」は
作品がメディアで言葉は不要
女性の「性/生」をテーマにした越後妻有の作品が
世界各都市を巡回したように
生と死、歴史と記憶を巡る
ピアノと大量の新聞紙によるこのインスタレーションも
(世界初演)とあるから今後の展開と反響が楽しみ
あとは簡単に写真で


せんだいメディアパークの個展をもとに再構成した
岡崎市出身の志賀理江子の「螺旋海岸」(岡崎シビコ6F)

ボリビアのウユニ塩原のように眩しい
岡崎に拠点する建築家2人のユニット「studio velocity」の
空間インスタレーション(岡崎シビコ屋上)

レトロな昭和の木造アーケード街の記憶をアートで手繰り寄せた
青木野枝の「ふりそそぐもの/旧あざみ美容室」(松本会場)
みんな場と時を得て幸せそう

康生会場⇔東岡崎駅会場⇔松本町会場をつなぐベロタクシー
スタッフも「鳴くまで待とうホトトギス」
三河のユル系で旅の土産話にお薦め
メディアの報道は
名古屋会場に偏っていて岡崎会場の露出は少ないが
地域の文脈に溶け込んだ岡崎の作品群は
みんな場と時を得て幸せそう
2013年08月25日
朝日プラス・シ―があいちトリエンナーレを特集
細かいことは言わない
先のブログで
あいちトリエンナーレを見ずして2013のアートを語るな!
と、書いたところ「はじまる前は散々悪口を言っていたのに
どっちが本当なのか」とからかわれてしまった
オリンピックが始まる前は文句を言っていた人間が
はじまると夢中になって観るのと同じで
まあ細かいことはいいじゃないか
今日の[朝日プラス・シ―]が
あいちトリエンナーレを特集

私もまだメイン会場の愛知芸術文化センターを中心にした
「栄エリア」を見ただけで一部しか観ていないが
今日の[朝日プラス・シ―]が池上彰の学べるニュースのように
初心者にも分かりやすく特集

[朝日プラス・シ―]は東海地区限定のマガジン型新聞のため
東海地区以外の人は朝日新聞のデジタル版で一読をお薦め
向井山朋子+ジャン・カルマンを見ずして
あいちトリエンナーレを語るな!

岡崎[康生会場]ショッピングセンター「岡崎シビコ」5Fの
向井山朋子+ジャン・カルマンのコラボレーション
私が今回の「あいち」でイチオシしている
向井山朋子+ジャン・カルマンのコラボレーション
写真ではわからないが
実作はこのインスタレーションに
ジャン・カルマンの光や音がコラボされているから
言葉がみつからない
まだ足を運んでもいないのに
断定するのは無謀の誹りを免れないが
向井山朋子+ジャン・カルマンを見ずして
あいちトリエンナーレを語るな!
を改めて確信
岡崎会場が面白そう

岡崎[松本会場]青木野枝のインスタレーション
岡崎会場はサブ会場程度の認識でいたが
不明を恥じるしかない
正直に言えば同じ三河の岡崎に対する
了見の狭いライバル意識が原因で笑ってしまう
2013年08月19日
衝撃のあいちトリエンナーレ2013
憎らしいほどの贅沢さ
瀬戸内国際芸術祭もいいが
「あいち」を見ずして
2013のアートを語るな!

美術手帖9月号増刊(消費税込み1,260円)
近年、三年に一度という意味の
トリエンナーレ方式を採用するアートフェスが定着
毎年のように日本各地のどこかで○○トリエンナーレが開催され
普段アートに興味のない方も目や耳にされているのではないか

9月13日の朝日新聞より転載

9月14日の中日新聞社説より転載
トリエンナーレについては
このブログでもたびたび書いているため省くが
私の地元の愛知で都市の歴史や空間をまるごとミュージアムにした
国内最大規模の「あいちトリエンナーレ2013」が開催され
話題をよんでいる

八草駅は家から車で15分ほど
名古屋の中心「栄」まで藤ケ丘から地下鉄に乗り換えて約40分ほど
遠出するには足が完治していないのと
会期が10月27日までのロングランのため
もう少し涼しくなってからと予定をしていたが
日本女性新聞の取材が入ったのを幸いに
昨日、八草駅からリニモに乗った

国際美術展のチケットは大きく分けて
会期中フリーパスのフリーチケット(3500)と
一会場一回限りの普通チケット(1800円)の2種類あるが
会期とエリアの広さを考えるとフリーパスがお得でお薦め
足を運んだと言ってもメイン会場の一つ
愛知芸術文化センターを中心に
「栄エリア」の一部を見ただけだが唖然呆然
都市型のトリエンナーレと言えば
2001年から政府主導でスタートした「横浜トリエンナーレ」が有名
私も初回から2011年の第4回まで毎回足を運んでいるが
今回の「あいち」は横浜トリエンナーレ以上の衝撃
今頃ガイドブックを開いているようでは
泥棒を見て縄を編むようで笑ってしまうが
今回のイチオシの向井山朋子+ジャン・カルマンなど
必見のアーティストが岡崎会場に回るなど
憎らしいほどの贅沢さ
あいちトリエンナーレ2013を見るなら
愛知芸術文化センターから

正面の建物がメイン会場の一つ愛知芸術文化センター
写真を見て「えっ人がいないじゃん」と思われるかも知れないが
名古屋人は中日ドラゴンズ(ドラキチ)と地下街と
味噌煮込みとモーニングとランチと
なぜか伊勢の赤福が大好きで
みんな地下街を歩いているため見えないだけ
テーマは「揺れる大地」

あいちトリエンナーレのテーマ「揺れる大地」を象徴する
ヤノべケンジの《サン・チャイルド》
今回のトリエンナーレは34の国と地域から122組が参加
このうち国際美術展の参加作家は76組で
愛知芸術文化センターには半数近くの作家が出展


理屈抜きで「わぁっ」と声をあげてしまった
ソ・ミンジョンのインスタレーション
まだ一部を観ただけのため軽々に言うのは憚れるが
あいちトリエンナーレを包む聖性は否応なしに
テーマの「揺れる大地」に行き着く
東日本大震災を直接体験した芸術監督の五十嵐太郎の目が
隅々に行き届いて作家もセメント勝負で応える
コ―ネリア・パ―カ―、ア-ノウト・ミックなど
衝撃を受けたインスタレーションはなぜか撮影不可
撮影フリ―でも宮本佳明、青野文昭やミクストメディア(映像)作品など
私の写真が下手で上手く撮れなかったりして
ここで紹介できないのは残念だが百聞は一見にしかず
瀬戸内国際芸術祭もいいが「あいち」を見ずして
2013のアートを語るな!
大友良英&あまちゃん
スペシャルビッグバンドも出演

オペラや演劇や身体表現など
多彩なパフォーミングアーツもお薦め
9月7日(土)栄のオアシス21で
朝ドラの「あまちゃん」の音楽でブレイクしている
大友良英が総合プロデュースする「プロジェクトFUKUSHIMA!」
が開催される。入場無料でまさか能年玲奈は来ないと思うが
サプライズがありかも
説明は不可のため詳しい事は
書店で美術手帖9月号増刊を買い求めるか
「あいちトリエンナーレ」で検索を
2013年08月09日
あいちトリエンナーレ2013明日開幕
トリエンナーレは3年に一度の
アートのワールドカップ

夏の甲子園が開幕したが
愛知県でも明日10日(土)から34の国と地域から
122組のアーティストが参加するあいちトリエンナーレ2013が
愛知芸術文化センターをメイン会場にはじまる

2013年8月7日中日新聞より転載
ベロタクシーに乗って
あいちトリエンナーレに行こう

ベロタクシーは各会場の停留所を結ぶ環境に優しい自転車タクシー
トリエンナーレの国際美術展か舞台公演のチケットを持った人に限り
無料で乗ることができる/2013年7月30日朝日新聞より転載
トリエンナーレの説明は省くが
3年に一度開催される展覧会という意味で
近年は世界の国々や地域がそれぞれの威信(面子)をかけた
アートのワールドカップの様相を呈してきた
日本も例外ではなく
■東京23区より広い新潟県中越地域の里山全体を
世界でも例のない野外美術館に変貌させた
「越後妻有アートトリエンナーレ」
■政府主導でスタートした国際標準の
「横浜トリエンナーレ」
■瀬戸内を世界のアートの海にしようとスタートした
「瀬戸内国際芸術祭」がよく知られている

あいちトリエンナーレ2013の芸術監督五十嵐太郎さん
目のいい方は一読を/2013年8月8日朝日新聞より転載
私は前述した三つの国際展に「あいち」を加えた国際展を
日本4大トリエンナーレと呼んでいるが
世界標準の現代美術の祭典に
オペラやパフォーミングアーツなど
多様な身体表現を複合させた
成熟都市のトリエンナーレと言えば
あいちトリエンナーレの先進性とスケールが
理解いただけるのではないか
会期は
8月10日(土)⇒10月27日(日)
チケットの種類と会場は




問合せは
あいちトリエンナーレ実行委員会事務局
TEL:052-971-6111 FAX:052-971-6115
E-mail:geijutsusai@prif.aichi.lg.jp
2013年07月15日
あいちトリエンナーレ③商売ベタは愛知の県民性か
今日は海の日
今朝は一番で病院の扉をあけようとしたら開かない
よくみると本日休診の札
次に「平針の自動車試験場」に行くとガラガラ
こちらもよくみると本日休日の札
今日は海の日と気がついたが後の祭り
帰路、元町珈琲に立ち寄ると満席で順番待ち
ようやくニューズウィークで涼んだが
苦笑するしかない
瀬戸内国際芸術祭2013
広報活動は
分からない人にわかりやすく
分かった人にはより深くわかるように

瀬戸内国際芸術祭2013のパンフレットの表紙
家に帰るとアートフロントギャラリーから
瀬戸内国際芸術祭2013と越後妻有2013夏の印刷物が届いていた
バンフレットを開くと目の前に
瀬戸内の青い海と島々と見たいアート作品が
浮かびあがってくるから秀逸




パンフレットの部分
いま、なぜ瀬戸内国際芸術祭なのか
夏の見どころは何か(秋版もあるため)
東北・北海道の人も
関東圏の人も
甲信越の人も
東海・北陸の人も
関西圏の人も
中国・四国・九州の人も
このパンフレット一つあれば
瀬戸内国際芸術祭を巡ることができるから親切
こちらは
瀬戸内国際芸術祭2013の見どころを
紹介するプログラム


プログラムの部分
プログラムはA2版の変形をA5版の折りたたみにしたもの
セカンドバッグに入るサイズで便利
裏面をひろげるとイベントカレンダーが一体になった
瀬戸内のマップになっていて親切
(注釈)
放送番組で外国語を使いすぎるため精神的苦痛を受けたと
NHKを提訴した裁判が話題になったのは記憶に新しい
トリエンナーレなど国際展も例外ではないが
多くはもともと日本語にない概念を伝えるもので
カステラなどと同じように
時間がたてば外来語として定着するのではないか
例えば、近年演劇や舞踊など身体で表現をする公演や舞台芸術をひとまとめにした
パフォーミングアーツという言葉がよくつかわれる
人間は言葉を手にして考える葦になったように
外国語と避けるのではなく外来語として素直に学んだ方が賢明
こちらはアートフロントギャラリーの
ツア―の案内(参考までに)


ツア―は瀬戸内国際芸術祭をプランニングする
アートフロントギャラリーが企画したもの
瀬戸内国際芸術祭は
直島、小豆島、豊島、犬島、男木島、女木島など
魅力的な島々が多く短期間で巡るのは無理
しかも宿泊の予約がとれない
こんなときは宿が確保できて見どころをすべて知る
アートフロントのベテランスタッフがガイドしてくれる
ツアーを利用するのが一番
夏バージョンは日程的に難しいため
秋バージョンに申し込もうかな
宜しかったらいかがですか
瀬戸内国際芸術祭2013から見えた
あいちトリエンナーレ2013に
欠けているもの
今週金曜日発行の地元紙のコラムに
「トリエンナーレで試されるは地域の民度」のタイトルで
あいちトリエンナーレの応援記事(私なりの方法で)を書いたが
残念ながらあいちトリエンナーレの認知度は
関係者の範囲で広まっていないのが現状ではないか
過日も豊田市美術館で
あいちトリエンナーレのチラシやプログラムを探したが、無い!
ネットの時代で紙媒体は非効率と思っているのかも知れないが
ネットの情報はマニアの範囲で限界
イメージも伝わらない
「予算がない」という声も聞いた
とんでもない話で
一人でも多くの人に知ってほしい
一人でも多くの人に見てほしい
という熱意と創意工夫の欠如ではないか
新潟県の中越地域の東京23区より広い里山が
世界でも有数なアートの聖地に発展したのも
瀬戸内国際芸術祭が4大トリエンナーレで最大の観客数を数えるのも
彼らの発信力に対する神さまのご褒美で
昔「のぞみ」のダイヤ改正で名古屋飛ばしと騒いだ反省に
少しも学んでいない
他人のことは言えないが
十分魅力的なプログラムなのにもったいない
2013年07月15日
あいちトリエンナーレ(2)私のイチオシはコレ
パフォーミングアーツ
向井山朋子+ジャン・カルマン

向井山朋子(写真左)は
アムステルダムを拠点に活動する
ピアニスト&ビジュアルアーティスト
越後妻有アートトリエンナーレ2009で
女性の「性/生」をテーマに10000枚の白いドレスによる
衝撃のインスタレーションを発表
美術史を塗り替える才能に出会うチャンスはまさに千載一遇
そんな才能が名古屋にやってくるのに
見逃す手はない
ジャン・カルマン(写真右)は
1945年パリに生まれる
世界的なアーティストや作曲家と協働して舞台作品を制作
なかでも越後妻有の「最後の教室」など
クリスチャン・ボルタンスキーのコラボレーションは有名
予測不能で必見!!
「よくわからない」と批判しながら
イチオシとは矛盾するが
妖気漂う天才と鬼才のコラボレーションは
予測不能で必見!!
2013年07月13日
あいちトリエンナーレ(1)トリエンナーレのいま
アートは国や地域の威信をかけた
一大イベント
100年余の歴史をもつアートのオリンピック
ヴェネツィアビエンナーレは別格にして
近年、アートは国や地域の威信をかけた一大イベントの
様相を呈してきた

日本においても
■越後妻有アートトリエンナーレ
■横浜トリエンナーレ
■瀬戸内国際芸術祭
■あいちトリエンナーレ
の4大トリエンナーレがしのぎを削り
毎年どこかで世界標準の国際展が開催されるようになった
トリエンナーレ
3年に一度開催される国際美術展で
準備~開催まで時間がとれることから
国際展に限らず近年はトリエンナーレ方式を採用するケースが増えている
4大トリエンナーレ
■越後妻有アートトリエンナーレ
東京23区より広い新潟県十日町市・津南町の里山を舞台に
アートのダボス会議として世界が注視する世界最大級のアートイベント
リピーターやアートを巡る今様お遍路さんが多い事でも話題
次回開催は2015年
■横浜トリエンナーレ
世界標準のアート立国を掲げて国の主導ではじまった国際展
近年は民主党の仕分け政策で政府が手を引いたため横浜市が主催
紆余曲折を経たが国内最大規模のアートのショ―として人気
次回開催は2014年
■瀬戸内国際芸術祭
越後妻有アートトリエンナーレと連携して
瀬戸内を世界のアートの海にしようという壮大なプロジェクト
産廃の島、豊島がアートの島として再生するなど
風光明美な瀬戸内と現代アートが融合
4大トリエンナーレで最大の集客数を誇る
2013年開催
■あいちトリエンナーレ
現代美術や舞台芸術、身体表現など多様な表現をコラボした
成熟した都市型トリエンナーレが特徴でプログラムの内容も濃く
どちらかと言えばプロ向き
2013年開催
あいちトリエンナーレ余話
愛知のアートの地場産業ともいえる
鈴木五郎さんや加藤清之さんなど現代陶芸の旗手たちが
あいちトリエンナーレの構想外になっていることについて
「よくわからない」とブログに記したところ
元かわら美術館学芸員の天野さんから
同様の趣旨の書き込みがあった
実はこのような見方や考え方をしている美術関係者はは意外と多い
トリエンナーレは国や地域の民度をかけた時代で
後発のあいちトリエンナーレが勝ち残るためには差別化が絶対条件
で、選択したのが「都市を覚醒せよ」という
メッセージに象徴されるように
現代美術・建築・ダンス・オペラ・身体表現・演劇などなど
現代の多様な表現による3年に一度の都市の祝祭で
私たちはもっと誇ってもいいのではないか
では、なぜ「よくわからない」というような声が上がるのか
偏りを承知で言えば
トリエンナーレで地域を経営するという思想の欠如と
マネージメントの不在が浮かびあがってくる
もし地域を経営するという思想があれば
地元の問題は政治的で難儀なものだが
地域の文化資源を無視するような
ミスリードはおきなかったのではないか
もしマネージメントが機能していれば
未だ「よくわからない」などという
初歩的なパブリシティミスはなかったのではないか
トリエンナーレのファンの一人として
本当はこんなことは書きたくないが
せっかくのビッグチャンス
もったいない
2010年09月19日
あいちトリエンナーレ見て歩き(1)予告編
あいちトリエンナーレに足を運んだ
瀬戸内国際芸術祭に話題が集中しているようだが、いま名古屋で日本最大規模の国際展「あいちトリエンナーレ」が開催されている。「都市の祝祭」をテーマにしたこのトリエンナーレは、先端的な現代美術展に、演劇、オペラ、身体表現などのパフォーミングアートを加えた複合トリエンナーレが特徴で、24の国・地域から131組が参加。
都市の祝祭を標榜しているように、愛知文化芸術センター、名古屋市美術館、繊維問屋街の長者町会場、堀川沿いの納屋橋会場の四カ所を主会場に、開府400年で沸く名古屋城、オアシス21、大須商店街、マニアックな演劇ファンが支える七ツ寺共同スタジオなど、文字通り名古屋をアートで祝祭化しようというもの。加えて市内のコンテンポラリー系のギャラリーが競っているため、アートファンは見て歩くだけでも大変。
そんなわけで、足を運んだといっても農村舞台の合間に様子見をした程度で、見たうちに入らないが、先ずはその印象を予告代わりに。
祭神になった草間弥生ブランド

ポスター、チラシと あいちトリエンナーレは草間弥生一色

「まち歩きマップ」はトリエンナーレが終わったあとも使えるため
余分にもらった方がお得。

チケットはフリーパスがお薦め
あれもこれも目移りして大変!

街の中でこんな乗り物を見つけた。
ベロタクシーというそうだが会場移動に乗ってみるのもいいかも。

草間弥生祭神説を象徴するのがメイン会場の愛知芸術文化センター2F正面こ安置されたこのプリウス。ベロタクシーと同じで、会場移動のアクセスとして予約すれば、誰でも乗車ができるとのこと。

笑ってしまったのがこの街宣車。
河村たかし市長が主導する市議会のリコール運動らしいが
中を覗くと大音量のテープがエンドレスで回っているだけで無人。
吉本新喜劇よりもリアルで面白いが、これでいいのかな。

こちらは「国連生きもの地球会議(COP10)」の開催をPRする屋台村
中身は農産物の市で、もうなんでもあり。

名古屋のランドマークの一つが、水を張った大屋根「水の宇宙船」が話題のオアシス21。こんな名物空間を支配できるのはやはり草間ブランドの威力。よく見ると動いているようで子どもたちが喜んでいた。年をとると子どもに還るというが、カーニバルだからまあいいか。
やっぱりアートは理屈がないのがいい
メーン会場の愛知芸術文化センターの吹き抜けの空間に設置された
松井紫朗の巨大なオブジェ。タイトルは「CHANNEL」(水路、経路の意)。
ポリエステルの生地を風船状に張り合わせたもので、
アートは精神の解放で理屈ではないと、納得。




今回の見て歩きはここまで
まだ農村舞台が残っているため本格的な見て歩きは10月に入ってからになるが、愛知県美術館の展示も大胆なレイアウトで目から鱗。中でも蔡国強は、ある程度は想像していたが、予測を超えるスケールと存在感で圧巻。
あいちトリエンナーレについては私も雑音を発したが、まさに百聞は一見にしかずで、反省。アートはどこまで、なぜ巨大化するのか。次回はそんな視点で歩いてみようと思っているが、先ずは予告編としてご容赦を。
あいちトリエンナーレは
10月31日(日)まで
2010年08月16日
間もなくあいちトリエンナーレ開幕

あいちトリエンナーレのガイドブック
美術手帖2010年8月号増刊BT 1260円
都市を舞台にした
国内最大規模のアートフェスティバル
○会期/8月21日(土)~10月31日(日)
○会場/愛知芸術文化センターほか名古屋市内主要4会場
瀬戸内国際芸術祭に続いて国内最大規模のあいちトリエンナーレが間もなく開幕する。従来の国際展が美術、舞台、建築などジャンルに特化した形で開催されてきたのに対して、あいちトリエンナーレは「都市の祝祭」をキーワードに、美術、舞台などジャンルを横断したアートフェスティバルが特徴。
この拡大型があだとなって(?)全容がなかなか見えなかったが、ここにきて全体像が見えてきた。なるほど、こういうことだったのか、と納得したが、それでも説明するのは難儀。先ずは足を運んでもらって体感してもらう他はなさそう。

文字が小さくて読みにくいかも知れないが、
私が説明するより確か。(中部読売記事抜粋)

こんな形で、愛知県美術館、名古屋市美術館のほか、栄の中心街、長者町地区、名古屋城などに展示されるとのこと。


市内のコンテンポラリー系の各ギャラリーでもアートフェアが予定されているため、県外の方は宿泊セットがお得。余談にそれるが「愛知の現代美術は元気」と言われるが、アートフェアのラインアップを見て納得。
あいちトリエンナーレの口なおしに
とよたの農村舞台アートプロジェクトまで
足を延ばしてはいかがですか(?)
とりあえず私のPRで恐縮ですが
○場所/豊田市深見町磯崎神社農村舞台
○公開制作/8月25日(水)~28日(土)
○内覧会/8月29日(日)13:00~
○前夜祭(オープニング)/8月29日(日)18:00~
○会期/8月30日(月)~9月5日(日)夜明けから日没
※延長を協議中のため正式に決まり次第お知らせします。
※交通が不便のため遠方の方で予めご連絡いただければ
名鉄豊田新線「浄水」駅までお迎えできると思います。
2010年07月05日
この夏は維新派で決まり
この夏は「あいちトリエンナーレ」と
瀬戸内の「瀬戸内国際芸術祭」がお薦め

都市の祝祭をテーマに開催される国内最大規模のあいちトリエンナーレ

「アートと海を巡る百日間の冒険」のコピーがお洒落な瀬戸内国際芸術祭
中でもイチオシは「維新派」の野外劇
私のイチオシは瀬戸内の犬島精錬所跡・野外特設劇場で上演される維新派の野外劇【(彼〉と旅をする20世紀三部作アジア編「台湾の、灰色の牛が背のびをしたとき」】。日程は7月20日(火)~8月1日(日)。

維新派のプロフィール

維新派野外劇の会場となる犬島精錬所跡

犬島の位置図

チケットは完全予約制で、平日はまだ空きがあるとのこと。
チケットと合わせ犬島までの乗船料が必要のため
興味のある方はウェブサイトで検索を。
2010年06月12日
どうせ都市の祝祭を狙うならそのぐらいしないと
ワールドカップ南アフリカ大会が開幕
何事もなければいいが…


朝日新聞より転載
ワールドカップ南アフリカ大会が開幕。何事もなければいいが…。
この南アフリカとベルリンの壁崩壊後のドイツを追ったドキュメンタリー番組を見たことがあるが、今でもその衝撃を忘れることができない。
この時代ファッションは
ピークを迎えていた
番組は、はじめに凄惨な銃社会の南アフリカを描いた。そんな国に逃れてくる隣国の難民。アパルトヘイト後の混乱と見過ごすことのできない文明破壊に、絶望してチャンネルを切り替えようとしたしたとき、番組はベルリンの壁が崩壊したドイツに切り替わった。
ダイナミックに生まれ変わるベルリン。番組はそんな新生ベルリンで大回顧展を開催した三宅一生を追った。一瞬天岩戸が開いたと思った。前衛がこんなにもキラキラして希望に輝いているシーンを後にも先にも見たことがない。才能が時代を開くのか、時代が才能を求めるのか知らないが、この時代ファッションはピークを迎えていた。

出演者が山本寛斎にオマージュのパフォーマンスを披露
話は飛ぶが、過日のNHKザ☆スターは、この三宅一生と並ぶファッション界の雄、山本寛斎をとりあげた。目を見張る色彩と装飾で70年代から世界を驚かせてきた寛斎。私はかねてから寛斎ファッションの原点は、南北朝時代に活躍した佐々木導誉の婆娑羅ではないか、と思ってきたが、12万人を動員したというモスクワ「赤の広場」のスペクタクルなショーや、戦国武将の華麗な甲冑を取り入れたショーを見て、確信に代わった。
この国は本物の才能の評価と
使い方を知らないのではないか
前置きに大半を費やしてしまったが、三宅一生と山本寛斎。すでに十分評価されている二人を例に挙げても意味はないかもしれないが、昨今、この国は本物の才能の評価と使い方を知らないのではないか、もしくは間違った評価と間違った使い方をしていてるのではないか、という気が頓にしてならない。(僻んでいるのではないので間違いのないように)
卑近な例でいえば開幕が迫っている都市の祝祭をテーマにした「あいちトリエンナーレ」。すでに采が投げられているため後戻りできないが、美術からオペラ、演劇、パフォーマンスと多岐にわたるトリエンナーレを芸術監督の建畠哲(国立国際美術館長)ひとりにゆだねるのは酷。祝祭のプロデュースと興業としてのマネージメントは別の能力で、山本寛斎の破天荒なプロデュース能力と、劇団四季を成功させた浅利慶太のマネージメント能力を使わない手はない。
どうせ都市の祝祭を狙うなら
そのぐらいしないと。
後の祭りだが、残念!
2010年05月10日
企画コンペは門前払いを承知した確信犯
私のあいちトリエンナーレ
現代美術展企画コンペの顛末
4月7日付けの当ブログで、あいちトリエンナーレ現代美術展企画コンペについて書いた。内容はこの企画コンペに、アート評論家の亀田恵子さんが、私かとうと京都の舞踏家今貂子さんのコラボレーションを提案したというもので、結果については「後日報告したい」と結んだ。

今貂子さんは伝説の舞踏グループ「白虎社」の
創立メンバーで、京都で舞踏集団倚羅座を主宰。
創立メンバーで、京都で舞踏集団倚羅座を主宰。
このことについて、過日、亀田恵子さんから「いろいろご迷惑をおかけして…」と電話をいただいた。
要は提案が不採択になったということだが、企画の打合せのため家まで何度も足を運んでいただいたり、京都まで足を運んでいただいた亀田さんに申し訳ないことをしてしまった。私の方が亀田さんにお詫びしなければいけないのに恐縮。
説明は省くが、今回のプランについては門前払いを承知した確信犯で、私の中では実現済み。ある意味では亀田さんも共犯で、あいちトリエンナーレをひと足早くバーチャルで楽しませていただいた。負け惜しみではなく、要はアタマの切り替えが大事ということ。来年2月に予定している個展の予行演習をさせてもらったようなもの(?)で、感謝!
シャボン玉のように
飛んで消えた「民俗で都市の祝祭」
-都市と人のはざまで花祭り-

長者町コンペのイメージプラン
●中央は高さ12㍍の梵天のオブジェ
●ビルの壁面は菰のドローイングでビル全体を異化
●人物は舞踏家今貂子さんのイメージ
●夜は梵天に灯が入り黒壁に舞踏集団倚羅座の画像が出現

倚羅座は今貂子さんが主宰する舞踏集団
もし実現していれば
猥雑で楽しい祝祭になったのに
今回のコンペは私も説明会に出席したが募集要項によると
①長者町繊維卸会館2階南西部屋
②伏見地下街店舗
③ARTISANビル1階内壁面
④その他長者町地区内
の4カ所で企画を競うというものだったが
①~③は「都市の祝祭」というトリエンナーレのコンセプトとは凡そかけ離れた小さなスペースで問題外。負け犬の遠吠えのようで言うのははばかれるが、意地の悪い見方をすれば市民参加のアリバイづくりとしか見えない。
私が確信犯に代わったのはこのためで、亀田さんと④の条件に該当する長者町をロケーションして見つけたのが、繊維街の記憶が色濃く残るビルと商店の間の駐車場で、【民俗で都市の祝祭-都市と人のはざまで花祭り-】の想が決まった。
構想の意図は「人間の生命の根源である芸能する力で、時代を突き抜ける新しい都市の祝祭をつくる」というもので、もし実現していれば猥雑で楽しい祝祭になったのに。
負け惜しみがバレてしまったが
一番見たかったのは私で、残念!
2010年03月07日
あいちトリエンナーレ長者町地区企画コンペ
ここまできたら成功してほしい
あいちトリエンナーレ2010の準備も大詰め。(のよう)
規模は問題にならないが、私も長年こうしたアートイベントの制作に関わってきた。岡目八目というが、適度の距離があると大局が読めるもので、現役のときに気がついていれば、もっとみんなの役にたてたのに、と少し後悔。
余談に逸れてしまったが、ここまできたら成功してほしいもの。あいちトリエンナーレの詳細はホームページの検索を。

あいちトリエンナーレ2010のチラシ
あいちトリエンナーレ2010
長者町地区の企画コンペ説明会に参加
愛知芸術文化センターアートスペースの企画コンペ(決定)に引き続いて、長者町地区の企画コンペが発表され、3月6日(土)現地で第1回説明会が開催された。公募要項だけでは詳しいことがわからないため、私も足を運んだ

長者町コンペのチラシ
(募集内容)
長者町地区を展示空間にした12企画を公募。
製作費等の助成額は100万円を上限。
(選考方向)
第1次選考(書類審査)
第2次審査(プレゼンテーションとヒヤリング)
(応募方法)
3月1日(月)~3月31日(水)必着
(詳細)
あいちトリエンナーレ2010ホームページ確認
国籍、年齢不問(個展、グループも可)のため
興味のある方は是非!

説明会の参加者はざっと100人。
資料を読めば説明はなくてもわかる内容になっているため、
興味のある方は事務局に問合せを。
電話=052-971-6113 FAX=052-971-6115
E-mail=geijutsusai@pref.aichi.lg.jp
次回説明会は3月20日(土)14:00~

人数が多いため3班にわけて現地下見

なんかみんな元気がないなァ
説明会の次は
あいちアートの森
「堀川プロジェクト」を見るため
堀川界隈へ

堀川に架かる五条橋(都市景観重要建築物)は、名古屋城築城により、それまで尾張の中心だった清州から武士、町人、神社・仏閣など、城下町まるごと移転した「清州越し」によって、清州の五条川に架かっていた橋が移築したもの。「清州越し」の由来は知っていたが、橋を渡ったのは初めて。

五条橋の界隈は、堀川の水運を利用して、米穀、塩、味噌、酒、薪炭などを商う商家が軒を連ね、今もそこかしこに往時の繁栄を偲ぶことができる。写真は四間道の商家と町並み。

疫病や火災などから身を守るため、屋根の上に小さな社を祀る「屋根神」は、名古屋独特のもので、風土記では読んでいたが、実際に見たのは初めて。名古屋については私なりにわかったつもりでいたが、穴があったら入りたい。
そんなわけで
あいちアートの森は後日に