2017年12月08日

まだ間にあう!ジャコメッティ展



会期は12月24日まで


二十世紀のヨーロッパを代表する彫刻家の一人
ジャコメッティの大回顧展が
豊田市美術館で開催されている






本展は国立新美術館と共同企画で制作
先に公開された国立新美術館では
長蛇の列が出るなど今年注目の美術展の一つ






ジャコメッティ展のアプローチ





ジャコメッティ展の展示




来週発行の地元紙矢作新報に
月イチで連載している私のコラムの校正ゲラ  
  


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2016年12月09日

農村舞台仲間の伊丹靖夫さんが個展












農村舞台仲間で
豊田芸術選奨を受賞した伊丹靖夫さんが
豊田市美術館ギャラリーで
個展を計画している






伊丹さんは人気画家で
農村舞台アートプロジェクト実行委員長や
美術連盟理事長
文化デザイン会議会長を歴任するなど
当地を代表するアーティストの一人







普通個展と言えば画家の晴れ舞台で
いろんな意味で気をもむものだが
伊丹さんの場合は大きな目標に向けた
通過点で気負いがなく自然体







  「いろんなことを試してみる」と伊丹さん



いずれにしても羨ましい限りだが
須田剋太や井田照一の背中に迫るも良し

ライブハウス
「キーボード」の壁に架けてある
テナーサックスを吹く人物のような
人生の哀愁を描くシリーズも良し

ここまできたら
大きな目標とやらを
早く見たいもの







余談に逸れたが
個展は13日(火)~18日(日)迄
豊田市美術館市民キャラリーで
  


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2016年10月25日

香恋の館で中村広子展開催中





絵本作家で画家の中村広子さんの
展覧会が下山地区の香恋の館で
開催されている





今回は卓上カレンダーの原画を中心に
下山の昔話や民話を絵巻風にした作品など
癒し系のほっこりする小品を展示
近くにお出かけの方は是非!








卓上カレンダーは
1000円(大)と900円(小)2種類
ご自分で楽しむもよし
親しい人の贈り物にもよし




会場は三河湖の道の駅
「香恋の館」☎0565-90-4120







「香恋の館」の名の由来は
巴川の水を利用して線香の粉を
曳いていたことから命名されたそうだが
オシャレ


会期は10月30日(月)まで
「会期中はいつもいるから」と中村さん
三河湖の紅葉もそろそろ彩づく頃で
一石二鳥
  


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2016年05月01日

魑魅魍魎が跋扈した道慈山観音寺ライブ






一昨日(29日)
前回のブログで紹介した
小原の道慈山観音寺のライブに
足を運んだ






道慈山観音寺は
千年以上前に建てられたと伝えられる
真言宗大覚寺派の古刹







小原に通い始めて40年余になるが
道慈山観音寺に足を踏み入れたのは初めて


明治4年の大火で庫裏客殿、宝庫を焼失
今は参詣者も少なくなったそうだが
境内の佇まいは往時を偲ぶのに十分で
不明を恥じるしかない









夜のとばりが降りると
篝火が炊かれライブがはじまった


ライブの説明は省くが
密教の儀式を観るようとでも言えば
現場の空気感が
理解いただけるのではないか










夢か現か知らないが
場所は魑魅魍魎が跋扈してもおかしくない
今は無住寺の境内


本堂では僧侶による声明と
御詠歌の荘厳な宗教音楽が流れた









アートと芸能を切り口に
地元集落の潜在的なパワーを
引き出した竹内健人さんの構想力と力量に
ただただ脱帽
  


Posted by かとうさとる at 02:18 | Comments(0) | アートの現在

2016年04月29日

今夜は小原の道慈山観音寺にミュージシャンが集結











世間さまのゴールデンウィークも
ジジイには関係ないが

今日は予てから親交のある
諏訪さんのエトワールバレエシアターと
梅奈香さんの花柳流梅奈香会に
顔を出すつもりでいたが
突然ビッグイベントの案内が届いた


■北三河アートプロジェクト「カンノン」
■4月29日(金)18:30~20:30
■入場/1000円
(中学生まで/千洗町、寺平町住民は無料)







市指定の仁王像で知られる
小原の道慈山観音寺に
個性的なミュージシャンが集結して
何かやるらしい








仕掛けたのは
私が畏敬する竹内健人さん

一週間ほど前
「さとるさん、今どこにいる?」と電話
「家にいる」と私
「じゃ、午後伺うけどいい?」と竹内さん


竹内さんは愛知を代表する
ホンモノの辣腕プロデューサーで
数年前、名古屋から小原に一軒家を借りて
引っ越して来ちゃったから
びっくり


その竹内さんが今
力を入れているのが
北三河の魅力を内外に発信する
「北三河アートプロジェクト」


今回のアートフェスも
その一環としてやるらしい




今夜、道慈山観音寺に集結する
ミュージシャンは次のとおり





















ジャンルがバラバラで
どんな猥雑なライブになるのか
想像もつかないが
こんなチャンスを逃したらもったいない




場所と問合せはこちら↓





観音寺の市指定仁王像は像高204㌢
寛政7年(1795)
観音寺の山門が建立されたとき
美濃国円鏡寺から
迎えられたと伝えられている






問合せ/090-2572-0877竹内まで  


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2016年03月22日

切り絵師・俊寛さんの作品展に足を運ぶ






切り絵師・俊寛さんの作品展が
フォレスタヒルズで開催されている






  3月22日発行中日新聞より転載


俊寛さんの仕事については
たびたび触れているため簡単にするが
イタリア遊学中にフィレンツェの
職人たちの手仕事に魅せられ
切り絵師の道へ


フィレンツェの職人たちの祭典
コルシーニ公爵夫人主催の職人展で
グランプリを受賞するなど
異色の切り絵師として活躍






  フィレンツェの木彫り職人と仕事場を描いた最新作


こうした経歴や
ライフワークとなった職人シリーズから
フィレンツェに切り絵の伝統があるように
思う人もいると思うが
全部独学で道を拓いたというから
驚き



■会期/3月27日(日)まで
■時間/11:00~18:00
■会場/ホテルフォレスタ2Fロビー


俊寛さんは
フレンドリーなアーティストで
お願いをすれば切り絵の実演と
作品の説明をしてくれます
この機会に是非お出かけを
  


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2016年03月03日

豊田画廊で宇野マサシ展はじまる





昨日、市内宮口町出身の画家
宇野マサシさんの個展に
足を運んだ








  宇野さんのサポーター?高見さんと談笑する宇野マサシさん


宇野マサシさんは
DMの略歴に記しているように
伝説の画商羽黒堂の木村東介に
才能を認められた異才で
唐十郎など著名人との親交も多く
その実力は折り紙付き


またNHKETV特集で放映されるなど
全国各地を放浪
波乱万丈な生きざまは
最後の無頼派画家として
ファンも多い






  ターナーと見まごう芳醇な香りが支配する小品


演劇をしている私の弟と同級生で
親しくしているため
宇野さんの仕事については
私なりに理解しているつもりでいたが
F0号の小品の連作は衝撃


百聞は一見にしかず
先ずは豊田画廊に足を運んで欲しい







  こちらは今朝の中日新聞に掲載された記事


宇野マサシ展は3月8日(火)まで
豊田画廊の問合せと場所は↓







  


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2016年02月23日

津島のA.G.Galleryで三井園子展




いろんなことが一息ついたため
昨日(21日)は
津島のA.G.Galleryで開催されている
三井園子展に足を運んだ






  三井園子さんは布地にアクリルでドローイングした
  ミクストメディアで活躍する岐阜県出身のアーティスト




津島といえば
先ずは織田信長が
氏神として崇敬した津島神社にご挨拶






  天正19年(1591)に豊臣秀吉が寄進したと伝えられる
  国指定の重要文化財の楼門





  慶長3年(1598)に豊臣秀頼が寄進したと伝えられる
  南門から本殿を見る







  慶長10年(1605)尾張清洲藩主松平忠吉
  (家康の4男で秀忠の異母弟) の夫人が寄進したと伝えられる
  国指定の本殿


参考までに↓







  朝日新聞に連載中の「津島通信」より転載
  詳しくは朝日新聞のデジタル版でどうぞ




前置きが長くなったが
こちらがお目当ての三井園子展↓








  今回は景徳鎮と並ぶ徳化磁器で知られる
  中国泉州市徳化で制作したセラミックスの
  小品も展示(写真下)
  


三井園子さんの仕事を拝見するのは
ガレリアフィナルテ(名古屋) 
極小美術館(岐阜)と
今回のA.G.Galleryで3回目


ギャラリーで佇んでいると
素材(布地、アクリル、セラミックス)と
手仕事と場が見事に溶け合って
三井ワールド全開
なんとも爽やかで気持ちがいい



三井園子展

■会期⇒2月28日(日)まで
 水・金曜日は休廊
■時間⇒14時~21時


会場のA.G.Galleryはこちら↓






A.G.Galleryは名阪蟹江インターから
10分ほどの田園地帯?の一角に
昨年オープンしたという
お洒落な空間のギャラリー

オーナーの小澤輝余子さんに話を伺うと
アーティストがギャラリーに滞在して
制作することもできるというから
今後の展開が楽しみ


ちなみに
オーナーの小澤さんは
大学卒業後一時期小原でアトリエを借りて
制作をしていたというから
世の中狭い
  


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2016年02月01日

震災5年 衆議院議員八木哲也さんが個展










東日本大震災から間もなく5年
各紙が競って特集を組んでいるが
農村舞台仲間で
衆議院議員の八木哲也さんも
負けてはいない







八木さんは大震災直後から
何度も現地に足を運び
被災地の実情を訴え続けているのは
知る人ぞ知るところ

その八木さんが
大震災に想を得た陶芸展を
計画している



会期とプロフィールはこちら↓





国会開催中で個展なんかしていて
いいのかなと少し心配になるが
「僕はサボったことがない」と八木さん

作品の内容は聞きそびれてしまったが
現地の土を焼いたオブジェが中心で
外れたらゴメン



会場はこちら↓







東京に早春の息吹きを運ぶ
いけばな古流協会展の最終日と
八木さんの個展の初日が重なるため
宜しかったらどうぞ






■古流協会展は
2月10日(水)~15日(日)
■会場は
銀座松屋イベントスクエア
  


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2015年11月19日

frattoの制作に関わった全ての人に拍手








18日発行の朝日新聞(三河版)が
豊橋発タウン誌frattoの終刊を報じた






事実関係を正確に追いながら
frattoを見続けてきた記者でしか書けない
批評と惜別の記事で
何度も々読み返した



号は違うが
こちらがそのfratto↓






frattoについては
記事に詳しいため省くが
知的でお洒落なコミュニティマガジンfratto
のタイトルで
「出版は文化の総合産業というが
地域発の優れたタウン誌を創る人がいて
雑誌を支える読者がいる
豊橋という街の民度に脱帽」と
ブログに記したことがある


蓋棺事定
人は亡くなって棺の蓋をしたとき
その人の値打ちが決まるというが
雑誌もまた同じ

frattoの制作に関わった全ての人に
万雷の拍手を贈りたい




バックナンバーなどの
問い合わせは





fratto(フラット)編集部
☎0532-65-3015
  


Posted by かとうさとる at 21:57 | Comments(0) | アートの現在

2015年11月19日

村上ワールド前回の五百羅漢図展












圧倒的なパワーで進化を続ける
村上隆を説明するのは無理
そんな訳で以下パンフレットを要約



村上隆は
現在国際的に最も高い評価を得ている
現代美術家の一人

ロスアンゼルス現代美術館を皮切りに
世界巡回した回顧展をはじめ
ヴェルサイユ宮殿や
ロックフェラーセンター前広場など
さまざまな場所で
大型インスタレーションを発表

その圧倒的なスケール感と完成度により
世界を驚愕させてきた







  五百羅漢とは釈迦の教えを広めるため
  煩悩を滅し人々を救済するためこの世にとどまっている聖人
  羅漢信仰は平安時代に日本に伝えられたとされ
  江戸時代以降には各地に彫像や絵画がつくられ
  全国規模で広まったといわれている






絵画史上最大級の
全長100メートルに及ぶ《五百羅漢図》は
東日本大震災にいち早く支援の手を
差し延べてくれたカタール国への
感謝を含めて、震災の翌年2012年に
首都ドーハで発表されたもので
日本初公開
















本展はこの五百羅漢図のほか
「達磨」をモチーフに10年にわたり
制作が続いている「宇宙の産声」など
ますますパワーアップした
村上ワールド全開

写真フリーで
やることが全て緻密で豪快




村上隆の五百羅漢図展は

来年3月6日まで東京・六本木
森美術館(六本木ヒルズ森タワー53階)
午前10時から午後10時(火曜日は午後5時まで)
会期中は無休



森美術館のもう一つの楽しみは
スカイデッキからの眺望








六本木ヒルズ
森タワースカイデッキからの眺望
  


Posted by かとうさとる at 01:36 | Comments(0) | アートの現在

2015年10月19日

豊田市美術館がリニューアルオープン






リニューアルオープンの
タイトルをつけたが
実はまだ足を運んでいない


月曜日は休館だが
近くを通ったついでに
下見を兼ねて立ち寄ってみた













久々にヘンリームアとご対面






こちらは寺部の殿様ゆかりの
「又日亭」西側斜面の石組み

庭園業者の仕事だが
イサム・ノグチ
あるいは重森三玲の作庭と
説明しても通ってしまうのではないか

世界的な建築家谷口吉生の建物や
近現代のコレクションに
注目が集まっているが
こんな仕事がさりげなくされているから
豊田市美術館恐るべし




ちなみに
こちらは豊田市美術館のアプローチとして
設置された私の作品↓












タイトルは「すわらないで」としたが
「気軽にお茶でもどうぞ」と言う意味で
ある時、本当に座って
お茶を飲んでいる人がいたから
思わず笑ってしまった







実は私がプランニングでこだわったのは
手前の芝生の山

前述した石組みと同じで
私の作品と知っている人は
設置当時関わった人以外皆無

少し寂しいと言えば寂しいが
美術館へ行き交う人の
道標になればと願って設置したもので
「作り人知らず」も納得
  


Posted by かとうさとる at 21:23 | Comments(0) | アートの現在 | 美術・博物館+ギャラリー

2015年10月16日

加納俊治先生の訃報に寄せて















ローマ法王に献上された
世界の絵本作家が憧れる美しい紙を漉いた
加納俊治先生







  10月16日発行の矢作新報より転載

  「ぶんかの定点観測」は地元のオピニオン紙

  「矢作新報」に月イチで連載しているコラム




小原和紙の由来




  藤井達吉翁写真集は加納先生が監修
  郷土史家の若子旭さんが発行した写真集



小原和紙は

古くから小原地区に伝えられた「森下紙」をベースに

昭和の本阿弥光悦と称えられた碧南市出身の

藤井達吉が考案指導した美術工芸和紙で

独自に発展したもの



近年、碧南市藤井達吉現代美術館の木本文平館長らの研究によって

藤井達吉の日本美術の近代化に果たした役割が明らかになったが

戦後(1945-50)

小原村に疎開した藤井達吉の懐に飛び込んで薫陶を受けたのが

後に日本を代表する美術工芸作家として活躍する

山内一生氏、故小川喜数氏ら村の青年たちで

彼らの成功体験は美術の奇跡の一つに挙げてもいいのではないか





  藤井達吉翁写真集より

  右から在りし日の藤井達吉翁、加納俊治、小川喜数の各氏




美の求道者


中でも孤高の人、藤井達吉の心の内に分け入り

美の求道者の道を歩んだのが加納俊治先生だった

数々の栄誉は省くが

私は幸運にも幻の和紙「紙布」

ローマ法王に献上する和紙を

先生の応接間で拝見したことがある



世界の絵本作家が憧れる最も美しい紙と聞いていたが

絹布のような深みと静か光沢は

宝石のように輝いていたのを

今でも鮮やかに覚えている



余談に逸れるが、私は職にあった当時

こうした小原和紙を記録することの重要性を痛感

代表作家による「小原和紙三人展」

映像による小原和紙の証言記録の制作に関わったことがある



証言記録は未完で継続しているとのことだが

私たちがしなければいけない重要な仕事の一つで

今はただただ頭を深くして深謝したい(合掌)  


Posted by かとうさとる at 22:48 | Comments(0) | アートの現在

2015年08月30日

同い年の天才絵師 蕪村vs若冲










先週木曜日
話題の「蕪村と若冲展」に足を運んだ




私は蕪村好きを公言しているが
ほとんどが蕪村全集やメディアの耳学問で
蕪村の生の絵をみたことがない

昨年、アートニュースで
その蕪村と若冲の生誕300年を記念した展覧会が
サントリー美術館と信楽のミホ美術館(MIHOMUSEUM)を
巡回するという情報を入手した




  蕪村と若冲展のポスター

  タイトルにあるように
  尾形光琳が亡くなった正徳6年(享保元年・1716年)
  京都で若冲が、大阪で蕪村が生まれた

  誰が仕組んだのか知らないが
  のちに蕪村は、京都で若冲の家から数百メートルの場所に
  居を構えたというから話は出来過ぎ



ミホ美術館は









  アクセスは新名神「信楽」インターより約15分


ミホ美術館は
予てから一度は行きたいと願っていた美術館の一つで
建てたのは世界救世教から分派した「宗教法人神慈秀明会」

乱暴な説明をすれば
東のMOA美術館(熱海)と西のミホ美術館(信楽)と言えば
美術館の特異性と立ち位置をイメージいただけるのではないか

設計はパリのルーブル美術館のガラスのピラミッドや
ワシントンのナショナルギャラリー東館など
世界的に知られる建築家のI.M.ペイ

設計のテーマは「桃源郷」
建築容積の80%以上を地中に埋設
自然豊かな信楽の山中に出現したミホ美術館は
まさに美のシャングリラだ



平日なのに駐車場は満車



  駐車場とレセプション棟を結ぶシャトルバス





  美術館の入場券を購入するために並ぶ入館者



  レセプション棟から美術館までは電気自動車で移動
  茶室の路地を進むようなもので徒歩でも10分ほど
  枝垂れ桜のトンネルは有名

  






  北館(企画展示棟)と南館(コレクション棟)を結ぶ回廊



芭蕉を心の師として
崇敬し続けた蕪村


俳句と一体になった文人画の世界を追及した蕪村と
純粋絵画の美と技法を追及した若冲の比較は
将棋と囲碁の世界を比較すようなもので
どこまで行っても平行線で交わることがない

強いて言えば好みの問題だが
画家として天賦の才のあった同時代の
応挙や大雅や若冲に交じって
日本文化の精神性をビュアーに深めていった
蕪村の一筆一筆に惹かれる人は多いのではないか

若冲については
「若冲ブーム」で説明は不要のため省くが
ざっと概観した印象は少し拍子抜け

同行した彫刻家の池田さんから
「そんなの好みの問題だから決めつけちゃいかんよ」と
注意されたが、一つには若冲の代表作の多くが
メトロポリタン美術館など海外に流失して
国内が手薄すという背景もあるのではないか




  意味はどうとでもとれるためよくわからないが
  「学問は尻からぬけるほたる哉」の讃は笑っちゃう



今まで鉄斎など多くの南画を見てきたが
凄みに圧倒されて呼吸が苦しくなっても
心が穏やかになることはなかった

初めて蕪村の絵を生で見たが
蕪村その人がそこにいるようなたたづまいと
絵が実物以上に大きく見えたのは不思議



  「夜色楼台図」を見れただけで至福


ざっと蕪村と若冲展の印象を記したが
奥の細道などの俳画で生計を立てた漂泊の時代

京都に居を落ち着け国宝「十便十宜帖」の競作など
天才、池大雅と凌ぎを削った40~50代

大雅亡き後
独自の画境を深めた晩年

絵師として名を成した蕪村は
芭蕉ゆかりの金福寺(京都市左京区)の境内にあった
芭蕉庵を再興

芭蕉の墓碑を建て
「我も死して碑に辺せむ枯尾花」
と、詠んだ孤独な蕪村に思わず落涙


なお
蕪村と若冲は今日で閉幕
ご容赦を
  


Posted by かとうさとる at 22:21 | Comments(0) | アートの現在

2015年07月28日

全員でシンフォニーを奏でた奇跡のアートフェス








伍江梅さんが帰国


今日、今月の17日来日以来
小原和紙や美濃和紙のリサーチ
とよたのアーティストとの交流を重ねた
紙の造形作家伍江梅さんが帰国した






  一日で消滅したアートフェスの空間  





  多弁は興ざめのため省くが
  こちらは私の作品






  作品の撤去を前に全員で記念の一枚をパチリ


あとはフォトドキュメントで↓





  津軽三味線の村松さつきさん(手前背中)と
  書の市川明徳さんによるパフォーマンス












伍さん(左)は
インディアナ大学に戻って
和紙の専門コースの設立を働きかけ
和紙の魅力を全米に広げたいと
今回の訪日の成果を語ったが
展開が楽しみ
  


Posted by かとうさとる at 12:58 | Comments(0) | アートの現在

2015年07月26日

面白うてやがて悲しきアートフェス











午後2時から
津軽三味線と書の
パフォーマンスもあるよ



国際的に活躍する
紙の造形作家伍江梅さんと
とよたのアーティストによる
アートフェスティバルが
豊田市民文化会館ではじまった

はじまったと言っても
今日一日限りの
線香花火のような
アートフェスで複雑系





  会場正面






  伍江梅さんの灯りのオブジェ 







  こちらは公開制作で制作した私の作品  


Posted by かとうさとる at 02:38 | Comments(0) | アートの現在

2015年07月23日

理に適ったものはみな美しい



明後日の公開制作に先駆けて
紙の造形作家として国際的に活躍する
伍江梅さんの制作が
視聴覚ライブラリーで始まった






伍江梅(ウ・ジャンメイ)さんは

中国上海同済大学で建築都市企画デザイン学士学位を取得後
アメリカインディアナ大学に留学
同大学芸術&デザイン科助教授として現在に至っている

今回の来日の経緯は伍さんと市内在住で白日会会員として活躍する
曽剣雄さんの奥さんの楊林さんが中国時代の同級生だったという
繋がりで実現したもので
ご主人のインディアナ大学情報科学教授のRonさんと
息子さんのDexterさんとファミリーで豊田市に滞在

小原和紙や美濃和紙をリサーチする一方
豊田市のアーティストと合同でアートフェスティバルを開催
アートを通して日中米による相互理解を深めようというもの


初めて伍さんの仕事場を覗いた

①コンピューター媒介変数を駆使した構造(デザイン)の決定
②パーツに分解
③パーツを組み立てる
④空間に設置
⑤ライティングの演出

という流れを見ると極めて構築的だが
空間の支配力(空間を読む力)が成否を分けるのは
自明の理で本番の設置が楽しみ


ざっと拝見したが想像以上の手仕事で
伍さんが小品だけでも先に組み立てたいと
リクエストしたのも納得








人手がいるということで心配したが
沢山の人が手弁当で駆けつけてくれてひと安心

元幼稚園長や元保育園長など知った人も多く
尋ねると「楊さんから頼まれたから」と楽しそう





こちらは伍さんの同級生の楊林さん





こちらは伍さんの息子さんのDexterさん
いつも手伝っているのか手馴れたもの


みんな初めてなのに
ベテランのスタッフみたい
















初心者でも制作できるのは
構造が理に適っているからで
世界は広い
  


Posted by かとうさとる at 22:30 | Comments(0) | アートの現在

2015年07月17日

伍江梅さん今日来日








話は逸れるが
過日酔っぱらって転倒
擦り傷程度で
大事にならなくて良かったが
サイテイ






  NHKテレビ画像より接写


今日は先にこのブログでも紹介した
紙の造形作家として国際的に活躍する
伍江梅(ウ・ジャンメイ)さんが
小原和紙や美濃和紙のリサーチと
アートフェスに参戦するため来日するが
台風の影響が心配



こちらは伍江梅さんの仕事と
アートフェスの概要を記したコラム↓






  7月17日発行の矢作新報のコラム
  「ぶんかの定点観測」より転載



タイトルを「アートでバトル」としたが
現時点で考えられる最高のメンツで
私も参戦するつもり

■会期は「おいでん祭り」と同じ
7月25日(土)アートフェス公開制作
7月26日(日)アートフェス「ライブ」
■会場は市民文化会館A展示室で必見!
  


Posted by かとうさとる at 02:44 | Comments(0) | アートの現在

2015年07月09日

アーティストが手作りの国際文化交流アートフェス








米国のインディアナ大学
芸術&デザイン科助教授で
紙の造形作家として国際的に活躍する
中国人作家の伍江梅さんが
小原和紙や美濃和紙のリサーチのため
豊田市に滞在することが決まったのは
一カ月ほど前

その伍さんから滞在中に
豊田市のアーティストと交流したいとの
リクエストがあり
有志で受け入れの実行委員会を立ち上げた


で、急遽決まったのが下記の
国際文化交流アートフェスティバル


会場の都合で会期は2日間と短期決戦
しかも初日は公開制作で
実質は1日限りのアートフェスだが
会期は長ければいいというものではない








伍さんを紙の造形作家と記したが
プロフィールによると「数学、物理学及び
コンピューター媒介変数を駆使し造形美&
機能美を融合させた応用折り紙作品」とのこと


写真ではスケール感が伝わらないが
どの作品も巨大な紙のオブジェで圧巻

経済だけでなく
世界のアートシーンで中国人作家が進出
話題になっているが納得



その伍さんが豊田市に来る理由




  日展など大混雑する会場で
  お目当ての作品を見つけるのは大変だが曽さんの作品は特別
  人垣の山をみつけるだけで曽さんと分かるから簡単

  アメリカを目指す中国人アーティストのなかで日本
  それも片田舎の豊田市で黙々と制作を続ける
  曽さんの誠実な背中は頭を深くして学ぶことばかり

  

種を明かせば
豊田市在住で白日会を中心に活躍する
中国人作家の曽剣雄さんの奥さんの楊林さんと
伍さんが中国で同級生だったという繋がりで
来豊が決まったもの


豊田市側からの出品者は

石川泰弘(モダンアート)
石田真典(写真)
池田富義(彫刻)
伊丹靖夫(日本画)





市川明徳(書パフォーマー)




大石マツヱ(押し花)
かとうさとる(現代いけばな)
加納恒(造形)
加納登茂美(小原和紙)





切り絵師俊寛(切り絵)
柴崎幸次(県芸大教授)





鈴木真幸登(いけばな)
鈴木美賀子(小原和紙)
曽剣雄(洋画)





中村広子(絵本画家)
村松さつき(津軽三味線)



どうせやるなら
真夏の夜の星座のようなアートフェスと
無理をお願いしたが
当日は「おいでん祭り」の花火大会
みんな人がいい



アートフェスの詳細は↓

■会期:7月25日(土)・26日(日)
25日(土)⇒公開制作&展示
26日(日)⇒作品展&ライブパフォーマンス

■会場:豊田市民文化会館A展示室
    ☎0565-31-8804
 
■照会:実行委員会(体表)曽剣雄
    ☎090-192-1382
  


Posted by かとうさとる at 16:41 | Comments(0) | アートの現在

2015年06月06日

豊田芸術選奨受賞記念安藤和久「紙と漆」展










豊田芸術選奨とは





豊田芸術選奨は公益財団法人豊田市文化振興財団が
地域にゆかりのアーティストで最も芸術的と称賛される人を表彰

受賞者は2年間の準備を経て個展をする決まりとなっているため
約600㎡の空間を一人で埋める力があるかどうかなど
厳しい選考をクリアした人ばかりで実力は折り紙付き


今回発表するのは
小原和紙の安藤和久さん



小原和紙は古くから小原地区に伝えられた「森下紙」をベースに
昭和の本阿弥光悦と称えられた藤井達吉翁が考案指導した
美術工芸和紙としてよく知られているが
和紙と並ぶもう一つの柱が漆芸

そんなわけで小原和紙とは
漆芸を含めたブランド名と勝手に理解をしている

前置きが長くなったが
安藤和久さんは瀬戸の鬼才、故河本五郎さんに師事をした
小原では異色のアーティスト

「漆の美展」で文部科学大臣賞を受賞するなど
その名は聞いていたがまとまって見るのは今回が初めて



巧みの手仕事と響き合う空間







  インスタレーション作品(ミクストメディア)





  和紙と漆が融合した屏風作品の一部





  古板を転用した二曲一双屏風
  タイトルの「○△□」はどっかで見たことがあるよね(笑い)








  小原の漆を代表する技法の「張抜」(一閑張)  





  乾漆の食籠「赫」





  乾漆ぐい呑み


下手な説明は野暮のため省くが
どの仕事も巧みの目と手が行き届いて見応え十分

先に「初めて」と言った
不遜さと不明を恥じるしかない


本展は明日7日まで
会場は豊田市民文化会館A展示室
問合せは☎0565-31-8804
  


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