2011年08月09日

農村舞台アートプロジェクトの経過報告(12)











農村舞台点描(1)「明川座」





嘉永5年に建てられた足助地区最大の農村舞台「明川座」


足助と稲武のほぼ中間に位置する明川は、中馬が足を休めた宿駅の一つで、馬も人も難所の伊勢神の峠越えを前に英気を養ったことは想像に難くない。今は宿駅と知る人も稀になってしまったが、無人の舞台に立つと、どこからか馬子歌が聞こえてくるような気がするから不思議だ。

※明川座は屋根工事のため今回のプロジェクトの舞台に入っていない



市制60周年記念
農村舞台アートプロジェクト開幕迫る






■会期⇒8月29日(日)~10月8日(土)
■会場⇒市内農村舞台31会場
■入場券取扱窓口⇒豊田市民文化会館
■問合せ⇒豊田市文化振興財団文化事業課
☎0565-31-8804


豊田市はトヨタ自動車の本社があることから、近代的な工業都市のイメージが先行しているが、面積で県内最大、その内の約7割が森林という農山村型の顔をもった自動車生産都市です。

こうした農山村型都市を象徴するのが、農村舞台点描で紹介した「明川座」など、市内東部から北部を中心に現存する農村舞台で、近年の目視調査により78棟を数えることが判明した。

農村舞台アートプロジェクトは、こうした舞台を地域の文化資源として活用し、新たな市民文化の創造を目指すもので、内容は「農村舞台リレー個展」「農村舞台ライブ」の二つのプロジェクトで構成。

「農村舞台リレー個展」の概要は、プロジェクトの経過報告(10)でとりあげたため、今回は「農村舞台ライブ」の概要と日程を紹介したい。



農村舞台ライブの概要とプログラム


農村舞台ライブは、農山村の娯楽の殿堂として親しまれてきた農村舞台を現代の小屋(劇場)として再生しようとするもので、名誉市民の故本多静雄氏が著した創作狂言の代表作「井戸茶碗」を皮切りに、日本の人形芝居を代表する「阿波」「佐渡」「恵那」の人形三座の競演。農村舞台でオペラ「蝶々夫人ファンタジー」「ジャズライブ」「ストーリーテリング」「石野歌舞伎」など、11事業を予定。





写真は農村舞台で初のオペラ「蝶々夫人ファンタジー」で、主役の蝶々夫人を歌う二宮咲子さん。二宮さんはこの夏、イタリアで開催される伝統のプッチーニーフェスティバル新国際版「マダマバタフライ」世界初演の主役を射止めた話題のソプラノです。



農村舞台ライブの日程

農村舞台アートプロジェクトオープニング行事
郷土創作狂言「井戸茶碗」

猿投古窯の発見発掘調査に関わるなど日本有数の陶磁研究家・蒐集家、民芸運動の理解者として活躍した名誉市民の故本多静雄氏が著した創作狂言の代表作「井戸茶碗」のほか「井杭」を上演。

■日時⇒8月28日(日)18時30分開演
■会場⇒藤岡飯野町秋葉神社農村舞台(藤岡地区)
■入場⇒1000円(中学生以下無料)
■出演⇒能楽師〈狂言方和泉流〉井上靖浩(和泉流職子分会幹事)
佐藤友彦(重要無形文化財総合指定保持者)ほか

ストーリーテリングフェスティバル2011
「ひとり語り」の古屋和子さんがプロデュースするユニークなストーリーテリングフェスティバル。市内5会場で開催。農村舞台は以下の2会場。

■日時⇒9月10日(土)18時30分開演
■会場⇒西中山町八柱神社農村舞台(藤岡地区)
■入場⇒1000円(中学生以下無料)
■出演⇒古屋和子琵琶弾き語り 泉鏡花作「夜叉が池」
ベリーダンス/島谷美也子蝶々、のほほんベリーズ
謎の重量級音楽集団あぶらかたぶら


■日時⇒9月11日(日)18時30分開演
■会場⇒花沢一組神明社農村舞台(下山地区)
■入場⇒1000円(中学生以下無料)
■出演⇒古屋和子琵琶弾き語り 浅田次郎作「天切り松闇語り」より
下山三河万歳保存会/ベリーダンス/島谷美也子蝶々、のほほんベリーズ/謎の重量級音楽集団あぶらかたぶら

夢渡野ジャズライブ
全国水の郷百選に選ばれた旭地区の中心
小渡町の有志によるまちおこしのジャズライブ
■日時⇒9月17日(日)18時30分開演
■会場⇒小渡町神明神社農村舞台(旭地区)
■入場⇒無料
■出演⇒名古屋を中心に活躍するジャズメンほか


佐渡の説教操り「猿八座」
新潟県佐渡には一人で一体の人形を操る古浄瑠璃の形式を今に伝える「文弥人形」「説教人形」「のろま人形」の三つの人形芝居があります。猿八座は江戸時代の人形浄瑠璃を復活させて、伝統芸能の面白さを現代に甦らせることを目指して、佐渡の猿八で旗揚げした人形浄瑠璃の一座。





■日時⇒9月18日(日)18時30分開演
■会場⇒市指定有形民俗文化財中金町岩倉神社農村舞台(石野地区)
■入場⇒1000円(中学生以下無料)
■出演⇒猿八座 説教操り「信太妻」-葛葉子別れの段-


阿波人形浄瑠璃「寄井座」
西日本の人形芝居を代表する阿波人形浄瑠璃は、徳島県の各地に伝承されている義太夫節による三人遣いの人形芝居で、「寄井座」は嘉永元年に徳島県の中央部神山町に伝えられた伝統の一座。





■日時⇒9月24日(土)18時30分開演
■会場⇒小原町賀茂原神社農村舞台(小原地区)
■入場⇒1000円(中学生以下無料)
■出演⇒阿波人形浄瑠璃「寄井座」
-傾城阿波の鳴門-「順礼唄の段・十郎兵衛内の段」


農村舞台でオペラ「蝶々夫人ファンタジー」
農村舞台が野外歌劇の舞台になるという本邦初上演のオペラ





■日時⇒9月24日(土)18時30分開演
■会場⇒深見町磯崎神社農村舞台(藤岡地区)
■入場⇒1000円(中学生以下無料)
■出演⇒解説:都築正道(音楽評論家)
蝶々夫人:二宮咲子(ソプラノ)
ピンカートン:宮崎智永(テノール)
シャープ:立花敏弘
演出・ピアノ:甚目裕夫(オペラ指導者)ほか


恵那文楽
三百年の歴史をもつ岐阜県無形文化財「恵那文楽」は、元禄時代に阿波のくぐつ師から恵那山のふもとの川上地区に伝えられた文楽人形。





■日時⇒9月25日(日)19時開演
■会場⇒桑原町熊野神社農村舞台(稲武地区)
■入場⇒1000円(中学生以下無料)
■出演⇒恵那文楽保存会
鎌倉三代記「高綱物語段」


とよた吟舞夢舞台記念公演
詩吟の全国大会で活躍する会主が一座を組んだ
「とよた吟舞夢一座」の10周年記念公演
■日時⇒9月25日(日)17時45分開演
■会場⇒中金町岩倉神社農村舞台(石野地区)
■木戸銭⇒800円
■第一部⇒三河相撲甚句会「田舎歌舞伎」
第二部⇒とよた吟舞夢一座「構成吟-三英傑の戦い」


農村舞台市民フェスティバル
公募の市民参加による農村舞台市民フェスティバル
■日時⇒10月2日(日)14時開演
■会場⇒九久平町神明宮農村舞台(松平地区)
■入場⇒無料
■出演⇒とよたの太鼓ほか


石野歌舞伎公演
中金町の市指定有形民俗文化財岩倉神社農村舞台の修復を機に、途絶えていた地芝居をもとに「石野歌舞伎」として復興。地域を挙げて子ども歌舞伎に力を注ぐなど、農村舞台を生かした地域づくりの核となっている。
■日時⇒10月8日(土)13時開演
■会場⇒市指定有形民俗文化財中金町岩倉神社農村舞台(石野地区)
■入場⇒無料
■出演⇒石野歌舞伎保存会ほか  


Posted by かとうさとる at 01:03 | Comments(0) | 農村舞台