2009年03月28日

お薦め選書3 日本いけばな文化史 






お薦め選書3 日本いけばな文化史 


  在りし日の工藤昌伸先生
  (小原流研美会機関誌「研美」No84特集追悼工藤昌伸より)


工藤昌伸(くどうまさのぶ)

著者の工藤昌伸先生は
1924年東京赤坂にて華道家・工藤光洲の長男として生まれる。
上海の東亜同文書院を経て京都大学入学。

1951年重森弘淹、勅使河原宏、下田尚利と「新世代集団」を結成。
新しいいけばなの創造を模索。

当初は「平和のための美術展」、「アンデパンダン展」などで
社会性の強い作品を発表。
作家として前衛いけばな史に大きな足跡を記したが、
1955年財団法人小原流事務局長に就任した頃を境に、
いけばなの体系的研究に着手。

以来博覧強記の研究者として数多くの書籍の監修をするとともに、
同時代性の視点にたったいけばな運動を主導。
いけばなに伝統と現代の融合という画期的な変革をもたらした。
全いけばな人の精神的支柱として慕われていたが、
96年病魔に勝てず逝去。享年72歳。
(日本いけばな文化研究所主宰)

ざっと工藤先生のプロフィールを記したが、
私が今日までいけばなに熱くなれたのも、
工藤先生の出会いと薫陶のおかげで、
どんな言葉をもってしても語り尽くせない。

初めての作品集の話をしたとき一番喜んでくれたのが工藤先生で、
「空間をまきこんだ確かな自然と植物の造形」のタイトルで
玉稿を贈っていただいた。

多分私と同時代にいけばなに没頭した人は
みんな同じような思いを抱いているのではないか。

お薦め選書1で「いけばなは絶滅の危機」と記したが、
私は、工藤先生に帰ること、
工藤先生の生きた時代を検証することで、
扉が開くと思っている。
恩返しをしなくては。



お薦め選書3 日本いけばな文化史 


日本いけばな文化史

本書は全5巻からなり、
同時代性いけばなの流れと展開を
初めて「史」として検証するとともに、
花を愛でるという世界共通の行為が、
なぜ日本において「いけばな」という表現をもつに至ったのか。

いけばなを最もよく知る
博覧強記のいけばな研究者工藤昌伸が解き明かした、
現代のいけばな研究の集大成で、必携。

資料編、年表も最新の研究成果が網羅され、
特にいけばなの実作者の座右の書としてお薦め。


第1巻 いけばなの成立と発展
第2巻 江戸文化といけばなの展開
第3巻 近代いけばなの確立
第4巻 前衛いけばなと戦後文化
第5巻 いけばなと現代
発行 同朋舎出版


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Posted by かとうさとる at 00:20 | Comments(0) | いけばなお薦め選書
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