2009年03月15日
いけばなのプロフェッショナル 日向洋一

小白倉いけばな美術館常設展で制作中の日向洋一さん
日向洋一 ひなたよういち
1943年、草月流の重鎮として活躍した日向洸二の長男として旧満州大連市に生まれる。植物の外側からは見えない内なる祖景をテーマにした「植物に語らせるもの」シリーズは、現代いけばなの到達点の一つとして高く評価されている。草月流「洸華会」主宰。Fの会同人。
1943年、草月流の重鎮として活躍した日向洸二の長男として旧満州大連市に生まれる。植物の外側からは見えない内なる祖景をテーマにした「植物に語らせるもの」シリーズは、現代いけばなの到達点の一つとして高く評価されている。草月流「洸華会」主宰。Fの会同人。
いけばなのプロフェッショナル
手前味噌になって恐縮だが、私は「英国における日本年」の一環として現代いけばな展に関わったことがある。この企画に際して提出した作家のプロフィールの中で、ロンドン側が最も関心を示したのが日向洋一さんだった。概ね予測したとおりの反応で成功を確信したが、私が日向さんを第一に押した理由は作品もさることながら、季節の花々と戯れる小品から空間を支配するインスタレーションまで、彼の職人技ともいえるライブな制作現場をロンドンで再現させたいと思ったからである。難しい説明をしなくても、日向さんを紹介することで、いけばなの伝統と現代が回廊として結ばれると考えたからである。
そういう意味で日向さんはまぎれもなく、いけばなのプロフェッショナルであり、現代のいけばなで最も重要な一人を選ぶとしたら私は間違いなく日向さんを推す。いけばなの様式を伝承する人は数多いても、伝統と創造のたぎる「今」を次代に伝える人は、鋏一つで街角のお師匠さんを自認する日向さんをおいていないと思っているからである。
植物に語らせるもの
いけばなは、植物を用いた限りなく自由な自己表現であって、植物から発散してくるもの、語ってくるもの、訴えてくるもの、そんなものを一度自分の中に取り込み、それを再構成して表現していくものだと考えている。そこでは自由で豊かな創造の世界が広がっており、ものを創りあげるという行為が、人間だけに与えられている素晴らしい魅力溢れる行為という事を強く感じている。(日向洋一「表現としてのいけば」図録より)
手前味噌になって恐縮だが、私は「英国における日本年」の一環として現代いけばな展に関わったことがある。この企画に際して提出した作家のプロフィールの中で、ロンドン側が最も関心を示したのが日向洋一さんだった。概ね予測したとおりの反応で成功を確信したが、私が日向さんを第一に押した理由は作品もさることながら、季節の花々と戯れる小品から空間を支配するインスタレーションまで、彼の職人技ともいえるライブな制作現場をロンドンで再現させたいと思ったからである。難しい説明をしなくても、日向さんを紹介することで、いけばなの伝統と現代が回廊として結ばれると考えたからである。
そういう意味で日向さんはまぎれもなく、いけばなのプロフェッショナルであり、現代のいけばなで最も重要な一人を選ぶとしたら私は間違いなく日向さんを推す。いけばなの様式を伝承する人は数多いても、伝統と創造のたぎる「今」を次代に伝える人は、鋏一つで街角のお師匠さんを自認する日向さんをおいていないと思っているからである。
植物に語らせるもの
いけばなは、植物を用いた限りなく自由な自己表現であって、植物から発散してくるもの、語ってくるもの、訴えてくるもの、そんなものを一度自分の中に取り込み、それを再構成して表現していくものだと考えている。そこでは自由で豊かな創造の世界が広がっており、ものを創りあげるという行為が、人間だけに与えられている素晴らしい魅力溢れる行為という事を強く感じている。(日向洋一「表現としてのいけば」図録より)

Photo山口幸一|1994年
この地方でかって盛んであった鯉の養殖が、先の地震で水槽が全滅し、集落のいたるところ無残な姿を曝している。傷ついた水槽の底にたまった水面には、かって元気に泳いでいた鯉に代わり、水草が異様な不気味さを放ち繁茂していた。その採取した水草を前面に出し、黄梅の暴れ枝を部屋全体に息苦しい程狂わせ、かつ天昇するかのごとく、高い天井に一気に立ち上げてみた。私なりにこの集落への思いのたけをいけあげてみた。
(日向洋一「小白倉いけばな美術館」図録より)
(日向洋一「小白倉いけばな美術館」図録より)

江口藤夫邸|4m×4m|雲南黄梅、ガイミアリリー、水草|鉄水盤(径180)
越後妻有アートトリエンナーレ2006「小白倉いけばな美術館」Photo尾越健一|2006年
越後妻有アートトリエンナーレ2006「小白倉いけばな美術館」Photo尾越健一|2006年
Posted by かとうさとる at 02:53 | Comments(0) | 現代いけばな人物名鑑