2014年02月23日

柄澤照文さんが三州足助屋敷で展覧会










ぶんかの定点観測#37

ぶんかの定点観測は
地元のオピニオン紙矢作新報に月イチで掲載しているエッセイで
37回目の今月は三州足助屋敷で開催されている
柄澤照文さんの展覧会を紹介


柄澤照文さんが三州足助屋敷で展覧会

    2014年2月21日発行の矢作新報より転載

 私の民俗好きは、いけばなの精神的源流を辿るうちに嵌まったものだが、日々の暮らしを支える知恵と工夫の伝授は学ぶことが多い。

 三河中山間地のそんな民俗を集めたのが紅葉の名勝香嵐渓にある体験型博物館「三州足助屋敷」。

 足助屋敷を建設したのは合併前の旧足助町だが、もし予算のある豊田市が建設したとしたらどうか。多分農山村のテーマパーク型の博物館はできても、現在のような地に足がついた身の丈の足助屋敷は出来なかったのではないか。

 市民として豊田市に愛着があるが、残念ながら血の通った知恵と工夫は金持ちからは生まれない。

 余談に逸れたが、現在その足助屋敷でペン画の柄澤照文さん(岡崎市在住)の展覧会が開催されている。

 柄澤さんは塩の道や菅江真澄(三河出身の紀行家)、松浦武四郎(三重県出身で北海道の命名者)など、江戸時代の先人の足跡を訪ねてスケッチ旅をしたり、全国各地の町並や農山村の風景をライフワークに描くなど、漂泊の紀行画家として活躍。

 中でも三河湾の塩が矢作川をさかのぼり、中馬の背にわられて信州まで運ばれた飯田街道の風物や暮らしを20年がかりでスケッチした「塩の道旅日記」は、連綿として今に生きる塩の道の民俗を記録した人生の旅日記で、座右の画文集としてお薦め。


柄澤照文さんが三州足助屋敷で展覧会

    お得なコトを「一度でニ度美味しい」というが
    足助の町並み一帯では右も左も「中馬のおひなさん」でいっぱい    
    3月20日頃には香嵐渓のカタクリ群落も見頃になるはず
    

 持ってまわった説明をしたが「中馬のおひなさん」のポスターの絵を描いている画家といえば、柄澤さんの人柄や画風が理解いただけるのではないか。

 展覧会では、中馬のおひなさんの全ポスターやペン画やイラストで描いた足助の世界のほか、朝日新聞にシリーズで掲載された名古屋広小路のスケッチ画、岡崎城下を描いた屏風絵の下絵など、柄澤ワールドが前回。

 雛の春は、農山村の豊かな暮らしを身近で学ぶことができるほか、中馬のおひなさんも楽しめる足助屋敷から目が離せない。


柄澤照文展は
■会期:3月31日まで三州足助屋敷で
■問合せ:三州足助屋敷☎0565-62-1188


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Posted by かとうさとる at 20:16 | Comments(2) | とよたの文化
この記事へのコメント
本日、好天に恵まれる中、三州足助屋敷の「からさわ・てるふみ展」を拝見しました。満喫できる展覧会でしたが、惜しいかな、図録がありませんでした。柄澤さんのペン画1点につき、関係する分野の研究者・有識者や市町村教委の文化財担当者・博物館学芸員の解説&エッセイを載せて編集すると面白い図録ができるのではないかと会場で思いました。問題は、軸となる編集者(機関)と出版体制ですが、何とか柄澤照文さんのペン画の図録が刊行できないものでしょうか。
Posted by 天野卓哉 at 2014年02月23日 21:29
「惜しいかな、図録がありませんでした」は私も同感です。同時に諸般の事情を勘案すれば図録が準備できなかったのもやむなしと理解しています。新たに図録の刊行ができないかとの提案については、三河地区の美術館が柄澤さんの仕事をどのように位置付けているのか否か、地域に生きる美術館としての見識(構想力)の問題です。かわら美術館でどうですか?
Posted by かとうさとるかとうさとる at 2014年02月24日 17:54
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    コメント(2)