2013年02月28日
近場で見つけた早春賦 ネコヤナギ
日本における河川工事といえば
コンクリートで護岸を固める工法が一般的
中には「三面張り」といって全部コンクリートで
河川を固めてしまう工法もよくみかける
河川を治水対策上の排水路としてしか見ない
土木思想が生みだした近代工法だが
近年は生物多様性の思想をとりこんだ
自然型河川工事も採用される例が増えてきた
メディアはこうした自然型河川工事を
ヨーロッパから導入された自然と共生する
新しい土木思想と報じているが笑ってしまう

平戸橋の波岩で見つけたネコヤナギ
笑ってしまうというのは悪い冗談だが
♪うさぎ追いしかの山
こぶな釣りしかの川♪
私と同世代より上の方は子どもの頃
里川で土手一面にネコヤナギが生い茂っていたのを
覚えているのではないか
私が生まれ育った土橋を流れる逢妻男川で
春を教えてくれたのもネコヤナギだった
その名の由来となった猫の尾の形をした花穂が
水平線の向こうまで波だっているように見えた
こうした光景は
日本の原風景として語られることが多いが
ほとんどは伝統河川工法の一つ「粗朶柵工」で広まったもの
粗朶柵工というのは
雑木の小枝を束ねた粗朶を連結して柵をつくり
背後にネコヤナギを植えて法面を補強する護岸工事で
世界でも最も自然に優しい土木工法の一つに
挙げてもいいのではないか
私が笑ってしまうと言ったのは
こうした伝統工法を棄てておいて
ドイツなどの近自然工法を
近代土木思想として崇めるおかしさを笑ったもので
私たちは先人の叡智に
もう少し謙虚になってもいいのではないか
Posted by かとうさとる at 18:48 | Comments(0) | フォト歳時記