2010年01月07日
スポーツ大陸 長野五輪大逆転スペシャル
スポーツ大陸
大逆転スペシャル「絆でつかんだ栄冠
~長野五輪ジャンプ団体~」を見た。
昨夜、NHKのスポーツ大陸 大逆転スペシャル「絆でつかんだ栄冠~長野五輪ジャンプ団体~」を見た。見たといっても途中からだが、あの感動の舞台裏にこんなドラマがあったのか、と目頭が熱くなった。

130mを飛んでガッツポーズをする斎藤浩哉(朝日新聞)
みんな一緒に夢を見た。
1998年、長野で冬季五輪が開催された。開催国の威信をかけて金メダルを宿命づけられたのがスキーのジャンプ団体だった。前回のリレハンメル冬季五輪で原田雅彦の伝説の失敗ジャンプで銀メダルに終わったジャンプ団体は、この年、長野五輪に照準をあわせ、ピークを迎えていた。
2月17日(火)大会11日目。日本はここまで、既にスピードスケートの清水宏保、女子モーグルの里谷多英、ジャンプラージヒル個人の船木和英と三つの金メダルを獲得。オリンピックフィーバーはピークに達していた。あとは主役の登場を待つだけだ。

左から船木和喜、原田雅彦、岡部孝信、斎藤浩哉
(中日新聞)
(中日新聞)
またしても原田失速
その時、長野は吹雪のような雪が舞っていた。そんな悪天候の中、原田がスタートを切った。会場はもちろん、テレビ桟敷のほとんどは祈るような気持ちで見ていたのではないか。結果は70メートルラインで失速。一瞬我が目を疑った。1回目を終わって日本は4位。競技委員は「これ以上の競技の続行は無理」と、競技の中断を宣言した。
(注釈)
ジャンプ競技は2回の飛行の総合点で順位を競うが、悪天候等で競技委員が2回目は続行不可能と判断した場合は、1回目の成績で順位を決める。
無償の誇りを勝ちとった
テストジャンパーたちに祝杯
私は競技が当然再開されるものと決めて、テレビ桟敷でミカンを食べながら待っていた。現場では続行中止に傾いていたが、番組を見るまで知らなかった。「スポーツ大陸」は、この舞台裏にスポットをあてたもので、無償の誇りを勝ちとったテストジャンパーたちをとりあげた。
テストジャンパーたちはみんなオリンピック代表を目指した一流のジャンパーで、リレハンメル冬季五輪代表の西方仁也もいた。言語障害を持ったジャンパー、女性ジャンパーもいたことを初めて知った。安全確認という重要な役割はわかっていても、前座としてカラスのように飛ぶ、ジャンパーの複雑な気持ちは痛いほどわかる。

ラストジャンプを決めた船木和喜に抱きつく原田雅彦
(中日新聞)
(中日新聞)
テストジャンパーたちの
オリンピックがはじまった。
競技委員は、開催国日本、オートリア、ドイツ、ノルウェーの4カ国で、偶然にも第1回を終わって1位から4位。トップのオーストリアは金メダルが確定するため中止の意見。他の2カ国は天候が回復しなければ中止もやむなしという意見。当然のように日本は強行に再開を主張。結論は出ず、テストジャンパーの試験飛行を見て決定することに決まった。
ジャンプ競技の再開はテストジャンパーたちに委ねられた。番組はチームが一丸となってテストジャンプに挑むジャンパーたちの背中を追った。先陣を切ったのはコースを固める役割を担ったジャンパーたちで、降りしきる雪の中、次々と大飛行を決めていった。
不思議なことに、私はこのときのテレビ画面を昨日のことのように覚えていた。間を開けずに次から次に飛ぶジャンパーに、異様な気配を感じていたからだが、実相を知って背中が凍りついた。

長野五輪の興奮を伝える当日の新聞(朝日新聞)
テストジャンパーの絆が
奇跡の扉を開いた。
一人でも失敗した段階でアウト。最後のジャンパーはリレハンメル五輪代表の西方仁也。西方の実力を知るオーストリアの競技委員は、西方が代表選手以上のジャンプをすれば再開OKと高いハードルを課した。
記録にも残らない無償のジャンプ。「オリンピックの本番でも感じたことのないプレッシャー」と西方。全員が固唾をのんで見守る中、真白な空に飛び立った。私たちは原田の2回目の大ジャンプを眼をつむって祈った。実況中継したアナウンサーは「立て!立ってくれ!」と絶叫したが、原田の前にこんなドラマが演じられていたとは。飛距離123メートル。K点越の大ジャンプで、日本は競技再開という奇跡の扉を開いた。

裏方にスポットを当てた記事だが、友情物語で甘い。
(朝日新聞)
(朝日新聞)
今夜は梅酒で祝杯だ。
長野五輪の結果については、私が説明するまでもないため省くが、私も裏方の役割を担ってきたため、テストジャンパーの衿恃が痛いほどわかる。それだけに、華やかな舞台裏を支えた無名のテストジャンパーにスポットを当てたNHKの慧眼(ジャーナリズム)に、畏敬の念を禁じることができない。今夜は梅酒で祝杯だ。
Posted by かとうさとる at 01:05 | Comments(1) | らくがき帖
この記事へのコメント
私も見ました。この時仕事で長野に住んでいましたが、こんなことが起きていたなんて知るよしもありません。
Posted by ito at 2010年02月16日 16:44