2020年11月21日

「記録」が歴史をつくる農村舞台






地元紙の矢作新報に月イチで連載しているコラム「ぶんかの定点観測」。

118回目の今回は
【新型コロナの向うに⑶「記録」が歴史をつくる農村舞台】のタイトルで、農村舞台アートプロジェクトの取り組みを紹介。





豊田市有形民俗文化財六所神社農村舞台
明治5年(1872)創建。市内に現存する最大規模の合掌茅葺建築で、茅葺屋根と舞台背景を引き立てる遠見、8間(14.4㍍)の間口を巨大な一本の梁が支えるシンプルな構造美は他に比類がない。






2022年に予定されているあいちトリエンナーレ改め、国際芸術祭あいち2022の芸術監督を森美術館長、国際美術館会議会長の片岡真美さんに決定したそうだ。

片岡さんは時の人で、名前と愛知県出身ということは知っていたが、日経新聞に連載された「私の履歴書」によると。父親はキリスト教、英国教会の流れをくむ日本聖公会の牧師で、片岡さんが幼いころ豊田聖ペトロ聖パウロ教会に牧師として赴任。当時の思い出を、人格や価値観の形成に影響を受けた父親への感謝と重ね合わせて懐かしく記している。

ただそれだけのことだが、行間から片岡さんの深い人となりが知れて何だか嬉しくなってしまった。


冒頭から余談に逸れたが、片岡さんのニュースは大相撲のご当所びいきのようなもので、ご容赦を(笑)。

さて、ニュースと言えば農村舞台アートプロジェクトも負けていない。新型コロナウィルスの感染拡大で行事の中止を余儀なくされたのは周知のとおりだが、「何ができて、何ができなかったのか」。農村舞台アートプロジェクトの10年を「史」として検証する作業に着手。

文化振興財団に話を伺うと、今週22日(日)には農村舞台寶榮座で、阿波人形浄瑠璃の本場、徳島県立阿波十郎兵衛屋敷館長を交えた焚火座談会を予定しているというからさすが文化の職業集団である。

ちなみに検証結果は、来春を目標に農村舞台アートプロジェクト10周年記念誌として編纂。内容はA4版約190頁。農村舞台の展開と可能性を未来志向で問い直す検証報告と図録で構成。他に農村舞台の成り立ちから今日までの流れを俯瞰する年表も予定しているというから、上梓されれれば破格の一書になるのは言を待つまでもない。

「記録」が歴史をつくるというが、ピンチをチャンスに変えた農村舞台アートプロジェクトの挑戦に万雷の拍手を贈りたい。

  


Posted by かとうさとる at 04:17 | Comments(0) | 農村舞台