2011年09月20日

農村舞台アートプロジェクト開催中(9)


9月18日(日)農村舞台ライブ
佐渡の説教操り「猿八座」公演



 
歳末歳時記の一つに、京都の清水寺で発表される世相漢字がある。ちなみに昨年は「新」の一文字だが、政権交代の期待感が薄らいだいまでは覚えている人もいないのではないか。多分今年は東日本大震災で被災された人たちへの連帯感から「絆」で決まるのでは。

当然のように「絆」の大切さを説く人がいるが、ものぐさの私は本物の芸能体験を奨める。知識は腹の足しにならないが、琴線を鳴らす芸術的感動が、心の糧となるのは自明の理であり、古来より私たちはそのようにして「絆」の大切さを学んできた。

もって回った言い方をしてしまったが、佐渡の説教操り「猿八座」の上演にあたって、プロジェクトの発案者の一人である八木哲也さんが、地元の小中学校を回って「生徒たちに是非観るよう」と奨めたのも同じことを感じていたからだと思う。


十三代目薩摩若太夫と
佐渡の説教操り猿八座に万雷の拍手



農村舞台アートプロジェクト開催中(9)


佐渡には一人で一体の人形を操る古浄瑠璃の形式を伝える「文弥人形」「のろま人形」「説教人形」の三つの人形芝居が伝えられている。

農村舞台ライブに招いた猿八座は、こうした古浄瑠璃を復活させて、伝統芸能の面白さを現代によみがえらせることを目指して、佐渡の猿八で旗揚げをした説教人形の一座。



農村舞台アートプロジェクト開催中(9)


平安時代に実在した陰陽師安部清明は並はずれた占いの力をもっていたことから、いつの頃からか「晴明の母は狐だった」という伝説が生れた。

「信太妻」(しのだづま)は、この逸話をもとにした古浄瑠璃の名作の一つ。この夜は「信太妻」の五段のうち「葛の葉子別れ」で知られる三段目を上演。

写真は和泉の国(現在の大阪府)、信太の森近くで仲睦ましく暮らす家族。夫保名は畑を耕しに野良へ、妻は七つになる童子(のちに成人して安部晴明となる)をあやす物語のプロローグ。



農村舞台アートプロジェクト開催中(9)


咲き乱れる菊の花にみとてれているうちに、うっかり本性を現してしまった母は童子に手紙をしたためて信太の森に帰っていった。

写真は突然いなくなってしまった母にあいたいと、父に訴える童子と、障子に書かれた「恋しくば尋ねきてみよ和泉なる信太の森のうらみ葛の葉」の文字に、全てを察した父保名。



農村舞台アートプロジェクト開催中(9)


母を追って信太の森に迷い込んだ保名と童子

写真は母を探す手立てもなく、死して母のもとに行こうと刀をとつた保名と父に従う健気な童子。そこに狐姿の母が現れた場面。

余談に逸れるが、ロシアのサハリンで開催された国際人形祭に招待された猿八座は、同じ「信太妻」を上演して絶賛を博したというから、「絆」は「もったいない」と同じように国際語になる日も近いのではか。



農村舞台アートプロジェクト開催中(9)


写真は人間の姿に戻り、最後の別れを告げる母と母に甘える童子
ほとんどの人は目頭を押さえて観ていたのではないか。
そして物語は切ないラストへ…。



リレー個展第3組開催中

今週は死のロードウイークで紹介が間に合わない恐れがあるため
18日(日)の制作時に撮った写真で紹介に代えたい。


足助地区リレー個展


■西樫尾町八幡社⇒鈴木琢磨(彫刻)


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農村舞台に突然白い猫の大群が出現


農村舞台アートプロジェクト開催中(9)


おいおい、そっちは外だよ


■千田町神明神社⇒
中根栄二(彫刻)・中根理(造形)


「つながりの間」2011 千田町神明神社

神明神社の農村舞台を観にきてくださった方
すべてが主人公となるような舞台装置でありながら
自らの内面を静かに見つめる場にしたい
そんな思いがはじまりでした。

その空間に座り、ながめる。歩いてみる。
木々の隙間から見える空
その土地にすむ人々が大切にしている神聖な場を感じとる。

目をとじてみる。
静かな心地よい風
かすかにきこえるおと

ひごろの物やことで溢れ返った中から
少し抜け出して静かな時を感じていただければ幸いです。
(メッセージ転載)


農村舞台アートプロジェクト開催中(9)


無垢なものに聖性が宿るというが納得



■細田町神明神社⇒新實広記(写真)


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作品の設置中のため後日完成作品と差し替え


下山地区リレー個展


■阿蔵町須賀神社⇒新宅雄樹(絵画)


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作品の設置中のため後日完成作品と差し替え


■小松野町日月社⇒本多晋一郎(彫刻)


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日月社のアプローチ


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「日月社の舞台をみて想を得た」と本多晋一郎さん


農村舞台アートプロジェクト開催中(9)

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普通はこんな「想」をえないもの
脱力系の陶の阿形と吽形を観て絶句!
ひと皮むけた本多晋一郎さんの今後の展開が楽しみ



最後に目の保養を


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小松野の日月社から阿蔵の須賀神社に向かう途中
「保殿の七滝」の看板を見つけて車を止めた








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Posted by かとうさとる at 01:39 | Comments(0) | 農村舞台
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