2009年08月23日

妻有ギャラリー(2)蓬平いけばなの家「作品編」


写真家の尾越健一さんから
蓬平/いけばなの家の写真が届いた。




芝峠から見た蓬平集落




蓬平集落の夕焼け




窓から飛び出した粕谷明弘さんの作品




宇田川理翁さん「狐の嫁入り」

闇夜に山野で狐火が連なっているのを、嫁入りの提灯行列に見立てて「狐の嫁入り」と言うそうだが、お目出度い嫁入りも「狐」となると話が切なくなってくる。








大塚理司さん「風を迎えに」

爽やかな風のように清々しい作品だが薔薇のメンテナンスで大変らしい。いけばなは手をかけただけ良くなるというから、泣きごとを言ったらバチがあたるというもの。









大吉昌山さん

シンプルで見たまま






粕谷明弘さん

オペラ座の怪人は歌劇場の地下を棲み家としたが、いけばなの家の屋根裏に隠れ棲んでいるのは「もののけ」か。初日、お客さんが帰ったあとと一人で部屋を点検したが、竹のオブジェが水木しげるの世界に見えてきた。









かとうさとる「妻有で陰翳礼讃」

タイトルのとおり。上の写真は部屋の正面。下は作品の胎内。








下田尚利さん「風の栖」

オープニングのあいさつで「貧乏をしても風のように自由でいたい」と下田先生。うそかまことか、浴衣について質問を受けた下田先生は、「年老いた風神さまが昔食べた女を藁でできたペットで偲んでいるところ」との説明に大爆笑。地元の人たちとの垣根がこのひと言で溶け、時のたつのを忘れた。2枚目の写真は作品のガイドをする下田先生。









長井理一さん「遊借りの間」

床も天井も家具も衣服も靴も、ユーカリの葉で埋め尽くされた遊び心満載のインスタレーション。白い紙は、いけばなの家を訪れた人の願いがつづられたエフ札で、大地の芸術祭が終わる頃には、ユーカリの木はエフ札で埋まって見えないのではないか。








早川尚洞さん「空中庭園」





日向洋一さん「植物に語らせるもの」















  


Posted by かとうさとる at 21:04 | Comments(0) | 大地の芸術祭「蓬平いけばなの家」

2009年08月20日

華道豊展の季節がやってきた


真の歴史と文化を学んだ

狂言師の茂山宗彦と俳優の黄川田将也が、オーストリアのウィーンを出発点に、チェコの首都プラハまで約500㌔を自転車で旅をするNHK「男自転車ふたり旅~チェコ・ボヘミア街道をゆく」の再放送を見た。

おだやかな田園風景や中世の面影を残す美しい街並みを背景に、チェコの狂言劇団との共演や伝統の芸術や文化に触れながら、目的地のプラハに向う茂山と黄川田。はじめはテレビ桟敷で何気なく見ていたが、気がついたら二人と一緒に旅をしているような幸せな気持ちになっていた。番組を見た人はみんな同じような思いで見たのではないか。同じテレビのニュースで「日本は世界でも最も豊かな国の一つになった」と総理が自慢していたが、ただ恥ずかしい。


私が唯一出品する花展




余談に逸れたが今年も華道豊展の季節がやってきた。華道豊展は、地元の華道連盟のメイン行事で私が唯一出品する花展です。今回は愛知環状鉄道沿線四市の岡崎、豊田、瀬戸、春日井の華道連盟で組織する「愛環いけばな協会」が10周年を迎えることから合同の記念展として開催。会期は前・中・後の三期に分け、私は中期に出品する予定です。

会期/2009年9月16日(水)~9月21日(月)
前期/9月16日(水)~17日(木)
中期/9月18日(金)~19日(土)
後期/9月20日(土)~21日(月)
会場/松坂屋豊田店8Fサンシャインホール
主催/愛環いけばな協会・豊田市華道連盟
後援/愛知県・愛知県教育委員会ほか




華道豊展出品作より。花:大王松|花器:山田和俊(猿投窯)






  


Posted by かとうさとる at 04:28 | Comments(0) | インフォメーション

2009年08月14日

妻有ギャラリー(1)予告編


このブログをひらいた方の中には、「あれ?」と思われた方がいるのではないか。このブログは公開済みの「続・朝日新聞大西若人氏の記事から」の本文を削除。新たに「越後妻有ギャラリー」として公開したものです。

「続・朝日新聞大西若人氏の記事から」は、大地の芸術祭が落ち着いて
から、私なりに総括の形で公開したいと思っていますので、ご容赦を。


越後妻有ギャラリー2009(1)

「越後妻有ギャラリー」は、まだ一部しか見ていないため、
予告編として名刺代わりに公開しました。



伊藤庭花さんの「はなの棲む家」作品№81(川西エリア)
妻有の里山はまもなく短い実りの秋を迎える。




愚直な背中が見えるような小沢敦志さんの「鉄をつくる」作品№9(十日町エリア/旧東下組小学校)。トニークラックは川辺や渚に流れついたプラスチックの破片を床に配置したが、小沢敦志さんは集落で収集した鉄製の工業製品をハンマーで叩いて壁面に配置した。



山下工美さんの不思議な「椅子」作品№9(十日町エリア/旧東下組小学校)。無人の教室で椅子のオブジェに光をあてると座っているいる人のシュルエットが現われる。だまし絵ではないかと、仕掛けを探したがあとは見てのお楽しみ。

私の予定

現地で皆さまとお会いできることを楽しみにしています。

8月26日(水) 津南エリア・中里エリア・松の山エリアの作品巡り
8月27日(木) 松代エリア・川西エリア・十日町エリアの作品巡り
8月28日(金) いけばなの家「ウィークエンドイベント」の準備
8月29日(土) いけばなの家「ウィークエンドイベント」
14:00~15:00 かとうさとる(燻炭のインスタレーションの公開制作)
15:00~16:00 大塚理司 
8月30日(日) ツアーのガイド
8月31日(月) ツアーのガイド
9月1日(火) 富山経由の北陸道で豊田へ(直江津の海で波止釣り) 
9月13日(日) いけばなの家ファイナルイベント
9月14日(月) いけばなの家搬出       





  


Posted by かとうさとる at 23:36 | Comments(0) | 大地の芸術祭「蓬平いけばなの家」

2009年08月10日

頭の切り替えをしないと酸欠で大変


あてもなく車でぶらりぶらり

大地の芸術祭から帰って以来、「今に生きる丹羽隆夫展」、「目で見るいけばなの歩み展」(パネルの組構成)の制作に奔走。どうにか目途がたってひと安心だが、日本の南海上にあった熱帯性低気圧が突然台風に変身。既に兵庫県を中心に各地で記録的豪雨による被害が続出しており、台風の進路が心配だ。

だけど一番の問題は頭の切り替え(リセット)だ。このままでは酸欠で死んでしまいそう。こんなときはあてもなくぶらりぶらりとするのが特効薬と、何も考えずに家を飛び出した。




矢作川に架かる広梅橋に車を停めて川面を見ると、落ちアユ漁の「ヤナ」の上で組合員らしい人が、心配そうに上流を見ていた。私もつられて川の流れを見ていたが、あてもなくぼんやりするのは命の洗濯でお薦め。




帰路、久しぶりに猿投窯の山田和俊さんを窯場に訪ねた。風聞では体調がすぐれないとのことで心配していたが、来年は喜寿の記念展を予定をしているとのことで一安心。玄関に活けた蓮の葉は山田さんの庭でいただいたもの。陶は迷ったが丹波焼にした。

  


Posted by かとうさとる at 23:16 | Comments(1) | らくがき帖

2009年08月08日

図録 今に生きる丹羽隆夫






図録 今に生きる丹羽隆夫

図録 今に生きる丹羽隆夫は、画家として、また美術教育のエキスパートとして将来の大成が嘱望されながら、29歳の若さで早世した丹羽隆夫さんの全容を記した遺作集である。私が本書の編纂を思い立ったのは、5年前、隆夫さんの父親である丹羽晧夫さん(愛知教育大学名誉教授)の作品集の編集のためアトリエの倉庫を調査しているとき、丹羽隆夫さんの作品を発見。無言の圧力に衝撃を受けたのがきっかけで、以来隆夫さんの稀有な才を惜しむ関係者の協力を得て、今日を迎えた。

内容は
1 評論「丹羽隆夫の世界」
2 座談会「今に生きる丹羽隆夫」
3 図録
4 資料編
5 よせがき
の各章に分け、学校崩壊の渦中にあって、生徒に勇気と希望というメッセージを伝えるため、全身で絵を描き続けた丹羽隆夫さんの全容を明らかにしたもので、一人でも多くの人に本書をお薦めしたい。
規格は
1 書名/図録 今に生きる丹羽隆夫
2 規格/A4版80ページ
3 発行人/丹羽晧夫
4 編集/かとうさとる
5 印刷/凸版印刷㈱
6 頒布/2000円

今に生きる丹羽隆夫展

本展について、丹羽隆夫さんが奉職した藤岡中学校、上郷中学校の関係者の皆様には近日中にご案内を投函しますが、名簿の把握が十分でないため、ご案内の範囲が限られています。両中学校卒業生でこのブログを読まれた方は、皆さんに展覧会の情報をお伝えください。
1 展覧会名/今に生きる丹羽隆夫展
2 期間/2009年9月8日(火)~13日(日)10:00~17:30
3 会場/豊田市美術館市民ギャラリー
4 主催/今に生きる丹羽隆夫実行委員会
5 共催/財団法人豊田市文化振興財団
6 後援/豊田市・豊田市教育委員会






丹羽先生のよかったところ(上郷中3年3組)
楽しかった。明るかった。やさしかった。
おもしろかった。けっこう小心者だった。
おごってくれたこと(ふとっぱら)。
心の記録のコメントを入れてくれた。
よく面倒を見てくれた。
いろいろなことを聞いてくれた。
気軽にしゃべれた。
相談しやすかった。真剣に相談にのってくれた。
すぐ「GIVE AND TAKE」といった。
元気にしてくれた。プラスに考えてくれた。
いつも笑顔だった。
丹羽先生の変だったところ
すべてはでな(蛍光色)服。
ちょつと笑い方が変(あやしげ)だった。
せきの仕方がかわっていた。リアクションが変だった。
変な言葉、同じ話ばかり、変な物語。
いつも夢の話をした。
車がボロイ。まゆげをうごかすところ。
妹のくつ下をはかせてきた。
「たのしい」を「つまる」と言っていた。
もし今丹羽先生に会えたら
「先生泣かせてくれたね」と言う。そして抱きつく。
おごってもらう。
その時考える。
おごってもらう(おこのみやき)。
死んじゃつたものは会えない。
ランチャ・デルタに乗せてもらう。
たくさん話したい。いっぱいいっぱい話したい。
ほんものかどうか確認する。
にげる。
分かんない。
抱きつく。
セガラリーを勝負する。
とりあえずさわってみる。
まじまじと見る。
びっくりする。
いろんな話を聞く。そして抱きつく。
パーティー。
物語のお話を聞く。
できた子どもの話で盛りあがる。
写真をとる。
一緒に酒を飲みたい。
とりあえず、おどろく。
さいこう、新車に乗せてもらう。あやまる。お礼をいいたい。
たくさんお話をする。「ゴメンナサイ」と「アリガトウ」って言う。
さけぶ。
いっぱいしゃべっちゃう。
3年3組のクラス全員といっしょに、もう1度ディズニーランドに行く。
うれしくて泣いている。
今までのいろんなことを話してみたい。
とにかく話す。あと上中祭や合唱コンクールをいっしょにやりたい。
もう1回みんなで修学旅行に行きたい。
おどろく。
立ちどまる。
あいさつをする。
たくさーんお話をする。
逃げる。


  


Posted by かとうさとる at 12:50 | Comments(0) | 編集出版

2009年08月04日

雑感-朝日新聞の大西若人氏の記事から


長かった梅雨が明けた

昨日、私の地元の東海地方も梅雨明け宣言されたが、全国各地で梅雨明け宣言が続いている。ニュースによると今日は九州北西部と北陸地方が梅雨明け宣言したそうだ。ちなみに気象庁の区分では新潟は北陸地方に入るとのこと。一般に北陸といえば、富山、石川、福井の三県をさすため意外な感じがしたが、大和朝廷の時代、既にこの地方は、越前(福井、石川)、越中(富山)、越後(新潟)と呼ばれていたように、地理的にも、気象学的にも影響しあっているため納得。



芝峠温泉から見た越後妻有。中央の山は日本百名山の一つ苗場山(2,145m)、左は同じく日本百名山の一つで、剱岳・穂高岳とともに、ロッククライマーが憧れる谷川岳(1,977m)。


雑感-朝日新聞の大西若人氏の記事から

余談に逸れたが、昨日の朝日新聞の文化欄に大西若人氏の記名で大地の芸術祭の展評が載っていた。既に読まれていると思うため、説明は省くが、一読して大地の芸術祭の経緯と現在と課題が記されており、美術ジャーナリストの真骨頂を見た気がした。

記事のポイントは
①「妻有ブランドの確立」(評価)
②魅力の維持が鍵(課題)
の二つで

私の目が止まったのは後者の「魅力の維持が鍵」で、大西は大地の芸術祭に対する内外の注目度に触れたあと、返す言葉で『しかし「安定」は、表現の源の一つともいえる、飢餓感や批評性とは距離がある。自然や人々と接して心を動かされるのは当然としても、「妻有型」といった作品のスイル化が現われているとしたら、寂しい』と指摘。さらに続けて、美術の魅力を失わないまま着地させる手がかり(ヒント}として、塩田千春と向井山朋子の試みをとりあげた。

私は長くアートマネージメントの職に就いていたせいか、「こと」を危機管理という視点で見ることが習性になっているため、大西の指摘に共鳴することが多い。「こと」を持続発展させることがいかに困難を伴うか、身をもって体験しているからである。大地の芸術祭も例外ではない。大西の指摘も妻有ブランドが確立したいま、足元を固めて明日に備えよ、という危機管理の重要性を示唆したもので、大西の大地の芸術祭に対する限りない愛着が伺えて嬉しい。

ところで「妻有型」とはどのような仕事をさしているのだろうか。記事では具体的な指摘がないため推測するしかないが、作家が「妻有」という心地のいい磁場に全身で寄りかかること、磁場に埋没して芸術的感動が希薄になることをを戒めているのではないか。大西が記事の小見出しに記した「地域の記憶を紡ぐ作品」と似て非なるものを指している、と勝手に推測しているが、本当のところはわからない。いずれにしても、私にも「妻有型」の心当たりがあるため他人ごとではない。大地の芸術祭の「公安」(禅でいうところの)として心にとめておきたい。



8月3日付朝日新聞のコピー


最後におまけ

蓬平/いけばなの家に出品しているFの会同人の大塚さんんによると、コンビニのパスポートの売上が前回の倍とのことで、夏本番に向けて大地の芸術祭はますますヒートアップしそうだ。

私が次に現地入りするのは月末の週になるため、大地の芸術祭の新着情報は大塚さんのブログがお薦め。私のような湾曲した見方ではなくストレートで笑ってしまうほど明快。方法は「古流かたばみ会」のホームページの「新着情報」を検索してください。







  


Posted by かとうさとる at 19:15 | Comments(5) | 大地の芸術祭「蓬平いけばなの家」

2009年08月02日

戻り梅雨


おすそわけできないのが残念

戻り梅雨のような天候が続いている。大地の芸術祭も気になるが、北海道では野菜の生産農家に影響が出ているらしい。戻り梅雨が続くと果樹にも影響がでるため、雨の上がった合い間を見て果樹園にハンドルを切った。お目当ての果樹園は家から車で5分程の近場で、出荷は県内でもトップクラス。しかも最高級にランクされているというシロモノで、おすそわけできないのが残念。




雨に濡れた向日葵も風情があっていい。




桃名人の林さんの桃。切らしてもらったのが下の写真。




ライターと比較すると大きさが理解いただけるのではないか。この桃はお使いもので、家で食べるのは林さんがクズ桃と呼んでいる「ワケアリ」の桃だが、「ワケアリ」でも味は絶品。「かとうさん 好きなだけ持って行っていいよ」の言葉に甘えて、箱ごと車に。こんな風にしてこの時期は桃が切れることがない。林さんに感謝。




梨も絶品。月末に再度新潟入りを予定しているが手土産は梨に決めた。  


Posted by かとうさとる at 03:39 | Comments(0) | らくがき帖