2014年07月02日

郷土を知る会と猿投古窯














敷居はこの程度の高さが一番いい


過日、「郷土を知る会」の
平成26年度総会と例会が開催された

「郷土を知る会」のメンバーは
博覧強記の郷土史家から主婦までいろいろ

漫画家の蛭子能収が出演する番組のような
「ゆる~い集まり」だが
敷居はこの程度の高さが一番いい


で、今回のテーマは猿投古窯



郷土を知る会と猿投古窯

   猿投古窯を代表するのが
   片口に四個の注口を付けた不思議な形をした「多口瓶」

   祭器に使われたものと思われるが
   9世紀頃のペルシャ陶器にも
   同じ形の器が見つかったというから
   猿投古窯の謎は深まるばかり

   写真の「多口瓶」は猿投窯の山田和俊さんが写したものだが
   本物(国宝)は本多静雄先生が愛知県陶磁美術館に寄贈
   常設展示されているため興味のある方は是非



日本の焼き物のルーツといわれる
猿投古窯が発見されたのは昭和29年9月


黒笹の愛知用水の工事現場から出た
不思議な陶片を入手した陶磁研究家の本多静雄先生が
破片の出た畑を調査して指摘したもので
須恵器から古瀬戸の空白を埋める歴史的発見となった

その後、名古屋大学の楢崎先生を中心に調査が進められ
豊田市の北部から名古屋市の東部丘陵地帯にかけて展開した
一大古窯址群が明らかになった

なお、猿投古窯の名は古窯址群が猿投山西南麓一帯に
広がっていたことから命名されたもので
猿投山西南麓古窯址群が正式な名称


当日は民芸館で猿投古窯の概要を学んだあと
焼き物に関係する灰宝神社(越戸町)
兵主神社(荒井町)、野見神社(野見町)
の由来を学習




郷土を知る会と猿投古窯

   豊田市民芸館の「さなげ古窯本多記念館」で
   児玉館長から猿投古窯の概要について学習



郷土を知る会と猿投古窯


郷土を知る会と猿投古窯

 
   復元した猿投古窯の穴窯   
   元は高崎町の山中にあったが卸売市場の建設に伴い   
   調査が行われ復元したもの



郷土を知る会と猿投古窯

   窯の内部は市民が窯焚きを体験するため現代の穴窯で復元


猿投古窯のミステリー

さて、猿投古窯について唯々諾々と記したが
私の最大の関心事は猿投古窯の物流のシステム

1,000年も前に猿投山西南麓一帯で焼かれた陶器が
どのようなルートをとおって全国各地に配送されたのか否か

どんなにいい商品を生産しても消費者に届かなければ
住む人のいない家
食べる人のいない料理と同じで
猿投古窯は存在しなかったからである

不思議なことに
どの本を調べても物流に対する記述は皆無
研究者に質しても物流について語る人は皆無


で、以下は私の空想だが

結論のみ記すと須恵器の時代
大陸から渡来してきた焼き物の技術をもった出雲系の一族が
良質の陶土を求めて猿投山西南麓にたどり着いて
南方から渡来してきた福岡の宗像系の海人族と合体
チーム猿投古窯となったのではないか



郷土を知る会と猿投古窯

   写真は戦禍を逃れるため国宝の「竹林豹虎図」など
   名古屋城の文化財が密かに移された灰宝神社の収蔵庫



郷土を知る会と猿投古窯


その謎を解く手掛りの一つが

矢作川の水運の要にある焼き物の神を祀った
灰宝神社(写真上)、兵主神社、野見神社の三社と
水の神を祀っている射穂神社

ちなみに射穂神社は
みのもんたの「歴史ミステリー」という番組で
「海人族」の痕跡を証明する神社として
紹介されたことがある(私は偶然その番組を見て絶句)

千年も前に
焼き物という先端技術をもち
マーケティングとマネージメントに長けた職業集団が
豊田市に居を構えていた
想像するだけでもわくわくしてくる


出雲系の神を祀る兵主神社


郷土を知る会と猿投古窯


籠川と矢作川が合流するた地点に土場(川湊)があって
出雲系の神を祀る兵主神社がある(写真上)

残念ながらこれらはみんな状況証拠で
専門家は歯牙にもかけていないが
猿投古窯の全体像を明らかにするためには
物流の解明が不可欠ということは
子どもでもわかるはず

もしかしたら
これが猿投古窯最大のミステリーかも


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Posted by かとうさとる at 22:03 | Comments(0) | とよた風土記
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