人生の聖、車谷長吉往く
蓋棺事定
人は棺の蓋をしたとき
はじめてその人の値打ちが決まるというが
車谷長吉の追悼記事を各紙が競って報じている
朝日、中日、読売、毎日を読み比べたが
各紙とも彼がいかに多くの人に影響を与え
畏敬されてきたか発見の連続
後に直木賞作家と知ったが
私のイメージの車谷長吉は
朝日新聞の土曜版「悩みのるつぼ」の
怪答者で止まったまま
正解のない悩みに抱絶絶倒の怪答で
相談者も読者も唖然
ところがこれがカンダタの蜘蛛の糸で
地獄の閻魔さまもびっくり
死亡原因は
17日朝、奥さんで詩人の髙橋順子さんと二人で外出
車谷さんはコンビニに寄って先に帰宅
食べ物をのどに詰まらた窒息死とのこと
人生というドラマの舞台裏を観察し続けた
人生の聖、車谷長吉らしい突然の幕切れで
多分苦笑しながら亡くなったのではないか
なんか私の最後を見るようで
他人ごとではない
享年69歳(合掌)
15年5月21日朝日新聞より転載
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