2010年03月24日
農村舞台はとよたの原風景
初めて岩倉神社の境内で
朽ちかけた建物を見たときは声を失った
私が初めて農村舞台を見たのは20数年前、地域を文化で活性化する方策を探るため、現地調査を始めたときに遡る。西中金町の岩倉神社の境内で朽ちかけた建物を見たときは声を失った。話には聞いていたが、中央に廻り舞台の遺構と左右に太夫座があり、たただごとではないと思ったからである。
修復前の岩倉神社の農村舞台(1990年頃)
放置すれば他の舞台と同じように廃絶に向かうことは一目瞭然で、時は待ってくれない。先ずは農村舞台が生きていることを証明する必要があるため、市民総合文化祭が20周年になったのを機に、同じ悩みを抱える集落に働きかけ民俗芸能祭を立ち上げた。昔話をするのは老いた証拠というが、農村舞台の再評価が始まろうとしているいま、当時の状況を明らかにしておくことも「史」として必要と考えたからである。
市の有形民俗文化財に指定され、農村歌舞伎も復活した岩倉神社の舞台。写真はご存じ「白波五人男」。千両役者!
農村舞台はとよたの原風景
前回のブログで「農村舞台の予備調査はじまる」と書いた。私は行楽程度に考えていたが集合場所に行って驚いた。移動は市のバスで、現地では支所長や関係者が立ち会うとのことで、二度びっくり。都合の悪い人は途中で帰ってもいいとのことで、一安心したが結局最後までつきあってしまった。
旧藤岡町飯野の秋葉神社の農村舞台。透見の借景が美しい舞台で、ライブやコラボレーションに最適。
和紙の里で知られる旧小原村雑敷の八柱神社の常夜灯。
石段を上ると左手に馬頭観音を見つけた。
モノトーンのグラデーションが美しい八柱神社の社殿。
火事(?)で失った舞台を再建した八柱神社の農村舞台。
舞台は今でも地元のお年寄りのよりどころになっているとのことで、みんなハハハと大笑い。文化財よりも元気が一番。
同じく旧小原村大草の加茂原神社の農村舞台。
参道は紅葉と四季桜の名勝としても有名。
笹戸温泉で知られる旧旭町笹戸の八幡神社の農村舞台。
写真は「お先に」と言ってそのまま帰ってしまった華道連盟理事長の鈴木真幸登さん。
国指定の旧旭町杉本の貞観杉を見上げる。
杉本の農村舞台は参道がキツイため、私は麓で待機していると、旭支所長の塚本誠さんが五平餅の差し入れ。一人で先にいただいたが、味噌の甘みとご飯の焦げ加減が絶妙で絶品。
ごちそうさまでした。
旧稲武町桑原の熊野神社の農村舞台。稲武は長野県と岐阜県に接し、中馬街道と秋葉街道が交差する要衝として栄えた宿場町で史跡も多い。写真は稲武支所長の中根学さん。
「俺は疲れたからお前らよく見とけ」と座り込んでしまった美術連盟理事長の伊丹靖夫さん。左は劇団ドラマスタジオの岡田隆弘さん。みんなおつかれの様子。
疲れたときは目の保養が一番
写真は明川の熊野神社参道脇の梅林
旧下山村和合の神明神社の農村舞台。どこかで見たことがあると思ったら、越後妻有の社殿によく似た造りで、納得。
下見の最後は坂上町の六所神社の農村舞台。市議会議長の八木哲也さんが「今日はほんの一部を見ただけですので、あとは自分で見に行ってください」と〆のあいさつをしたが、みんな「もう結構」と笑ってお終い。先は長そうだ。
Posted by かとうさとる at 00:11 | Comments(0) | 農村舞台