2009年12月04日

大地の芸術祭から見えたもの(最終原稿)


津南のカサブランカ

大地の芸術祭秋版搬出の帰路、津南観光物産会館でカサブランカを土産にした。6本で千円。ワケアリということだが、街のカサブランカよりはるかにモノがいい。ちなみに楽天市場で調べてみたら津南のカサブランカはブランドということで納得。


大地の芸術祭から見えたもの(最終原稿)


大地の芸術祭から見えたもの(最終原稿)


開花したカサブランカをいろんなところに挿しているが追い付かない。
千円でこんな贅沢ができるのも大地の芸術祭のおかげ。(感謝)



総括を急がなければ

NHKの「SONGS」井上陽水最終夜を見た。陽水は寺山修司と並んで自由詩で三本の指に入る詩人と思っているが、テロップで流れる文字を追いながら、その秘密の一端が覗き見えたような気がした。

陽水は歌で連句の歌仙を巻いている。一人で詠んで一人で捌いている。それも並の捌き手ではない。昔、雑誌で「飲んだあとはみんなで連句をして遊ぶ」というような記事を読んだことを思い出した。無意識のうちに連句の世界に遊んでいる。でないと、あんな世界は生まれるはずがない。

大地の芸術祭の総括をしなければ、と心の準備をしていたが、井上陽水を聴いてしまったため、また時が過ぎてしまった。大地の芸術祭の賞味期限が切れかかっている証拠で、総括を急がなければ扉が閉まってしまう。


大地の芸術祭から見えたもの(最終原稿)


長野道の豊田飯山インターから十日町市まで、国道117号線で約1時間。
遊び心のある人は旧道をスローライフで行くことをお薦め。
写真は長野と新潟の県境付近の旧道。




こんな時は単純明快が一番
朝日新聞大西若人氏の記事を再考


こんな時は単純明快が一番。宿題になっていた朝日新聞の大西若人氏の記事を再考して、総括に代えたい。

問題の記事は、8月3日(月)朝日新聞の文化欄に、「大地舞台に現代アート」のタイトルで掲載された。一言で言えば大西若人氏の事業評価で、大地の芸術祭の評価と新たな歴史を紡ぐための課題を明らかにした。

若人氏の事業評価は、世界にも類のない「妻有ブランドの確立」というもので、これは40万人の人が不便を承知で越後妻有を訪れたことが証明しているため省略。問題は課題で、指摘の箇所を以下全文転載する。


大地の芸術祭から見えたもの(最終原稿)


私が最も衝撃を受けた向井山朋子さんのインスタレーション。(作品№12旧飛渡第二小学校)
「妻有ブランド」はこの1点で納得。(デジカメでは撮影不可のため天井部分を参考に掲載)
この作品については、大西氏も「1万着以上の白いドレスをつった胎内巡りのような空間で、
女性の「生」をテーマにして、激しさと安らぎを感じさせた」と記した。



妻有型の意味

大地の芸術祭の課題について、大西氏は「魅力の維持が鍵」として、【北川さんが今回唱える「グローバル化ですべてが均質になるなか、人と違うことをしてほめられるのが、現代アート」という言葉も効果的で、内外のメディアの注目度も高まる一方だ。しかし「安定」は、表現の源のひとつともいえる、飢餓感や批判性とは距離がある。自然や人々と接して心を動かされるのは当然としても、「妻有型」といった作品化のスタイル化が現われているとしたら、寂しい。】と記したあと、美術の魅力を失わないままどう着陸させるか。そのヒントとして前述した向井山朋子と塩田千春の作品を紹介した。

この指摘は、妻有ブランドが確立した今、新たな歴史を紡ぐ取組みの重要性を説いたもので、【北川さんは、妻有について「展覧会の仕組みや展示数も含めて再考すべきとき」と語り、今後は少数精鋭の展示を試みる可能性も示唆した。】と末尾に続けた。

妻有型の意味は、もう説明不要。文面をそのまま忖度してほしい。
(オイオイ乱暴になってきたゾ!)


大地の芸術祭から見えたもの(最終原稿)


インターローカルアートネットワークセンターは、大地の芸術祭をはじめとする世界のアートプロジェクトの事例を収集するアーカイヴだが、展示、ディスプレーに川俣正の眼が行き届いていて、プロジェクトを追体験しながら世界のアートを学ぶことができる。私は農舞台とセットで、大地の芸術祭の博物館が誕生したと高く評価しているが、余り話題になっていないようで不思議。導入のディスプレーはお洒落でさすが川俣とうなってしまった。いつか雪に埋もれた季節に再訪したいものだ。(作品№198松代生涯学習センター2F/旧清水小学校)


バレエの森下洋子は「一日稽古を休むと自分にわかり、二日休むと仲間にわかり、三日休むとお客さんにわかる」と日々の稽古の重要性を説いたが、大地の芸術祭は森下洋子がいうところの三日を超えて四日目(四回)を迎えた。大地の芸術祭に「希望の創造」というこの国の未来が託された以上、妻有型という甘えはもはや通用しない。妻有ブランドの対価で、いやならやめればいい。(乱暴な結論で恥ずかしいがご容赦を)


最後に大地の芸術祭について
感じたことを記して終わりたい



大地の芸術祭から見えたもの(最終原稿)


大地の芸術祭は自分さがしのひとり旅(蓬平いけばなの家)



大地の芸術祭は当初予定の3回が終わり、「アートによる地域おこし」という当初の目的を達成。実行委員会も直接関わる地元自治体や団体と昨年設立されたNPO法人に運営の主導権が移項した。今回はその再スタートの第1回ということで、一部に心配する向きもあったが、国民的関心事となり、観客数40万人という大成功を収めたのは、これまでも繰り返して述べてきたとおりである。

ポスト北川フラム、全国に蔓延した大地の芸術祭現象(真似)など心配がなくなったわけではないが、ここでは触れない。大事の前の小事で、みんなが頑張っているときに、後ろから石を投げるようなことはしてはいけない、と戒めているからである。

最後に、前述したように大西氏は「妻有ブランドの確立」と事業評価を下したが、私は短い期間だったが、現地に滞在し、多くの人と交わる中で、「妻有はアートの聖地」になった、と確信した。数多国際展がある中で、アートをめぐり、人とひとがふれあい、「ヘンなの!」と言ってみんなで笑い、勇気をもらえる一期一会の国際展が他にあるだろうか。私が大地の芸術祭に惹かれるのもこのためで、創造の現場に少しでも関われた幸運を感謝している。

支離滅裂な原稿になってしまったが
これで私の大地の芸術祭の報告を終えたい。
ここまでお付き合いいただいた皆さんに深謝!











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Posted by かとうさとる at 01:24 | Comments(1) | 大地の芸術祭「蓬平いけばなの家」
この記事へのコメント
写真の旧道は栄村あたりのスノーシェッドかと。
あの道は私も好きで時々通ります。
飯山までの千曲川(信濃川)に沿ったなつかしい道。

大地の芸術祭については私も考える所多々。特に今後に関して、うかつに事を運べないなあ、と思っています。
かなり慎重にやっていかねばと。
Posted by risi@いけばな at 2009年12月04日 07:26
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