2012年10月05日

今年も松本で亀田恵子さんのヒトリ主義















「アイディアがたくさんある人の背中を
ちょつと押す…そんなことで貢献できたら
嬉しい」と亀田さん




舞踊評論家として活躍する亀田恵子さんと初めて出会ったのは
ガレリアフィナルテで個展の撤収をしているとき

夜も10時を回ったころ
撤収の手伝いを依頼していた塚本晴信さんが
「ライブ(舞踏)の打ち上げで面白い子がいたで連れてきた
話をしたら豊田市ということでびっくり
さとるさん、知っていた?」と若い女性を紹介した

猫の手もかりたいときのため
「話はあとで、じゃあ手伝って」と私

作業をしながら
藤岡に住んでいること
OLをしながら現代舞踊を中心に舞台芸術の評論家をしていること
などなど聞いた

「アイディアがたくさんある人の背中をちょつと押す…
そんなことで貢献できたら嬉しい」と亀田さん

初めて会ったのに同じ豊田市ということだけで
人生の親戚に出会ったように心の扉がひらくから不思議




ヒトリ主義は知れば知るほど
底が闇のように深く
私では説明不可



公演日:10月12日(金)-14日(日)
場所:ヴィオパーク劇場(長野県松本市)
チケット:当日2,000円/事前予約1,800円
問合せ:ヴィオパーク劇場☎0263-64-2258






その亀田恵子さんがライフワークとして取り組んでいるのが
「ヒトリ主義」という手づくりのダンスフェスティバル







「ヒトリ主義」については予てから何度も話を聞いて
私なりに理解しているつもりでいたが
なぜ、いま「ヒトリ主義」なのか
なぜ、ホームグランドの愛知ではなく松本のヴィオパーク劇場なのか
知れば知るほど底が闇のように深く私では説明不可



少し長くなるが
亀田恵子さんの
2012年のごあいさつを
全文掲載


【くり返しのなかにあるもの】

誰も予想できなかった大きな災害や
きっと誰でも経験しているだろう日々の些細なすれ違いや
いろいろな出来ごとをはらんで歳月は過ぎ去っていくようです

また、振り払っても消えることのない苦い思い出や
意識しなければ何もなかったかのように忘れ去られる感情や
私たちの暮らしの中には
数々の記憶と忘却が積み重ねられているようです

そして、それらのすべては私たちが生れて死んでしまうまで
止むことなくくり返される連続です
『営み』、そんな言葉をここから思い起こします



1年に1度、日本のあちこちから山奥の劇場に集まってくる
出演アーティストたちを見ていると、ふと彼らの営みに想いが至ります

『どんな仕事をしているのだろう
どんな人と話し、どんな風に感じ、何を想うのだろう』…などなど
想像を巡らしてしまうのです

また、一方で自分のことも思い起こします
『私はどんな仕事をしているのだろう
誰と話し、何を感じ、何を想っているのだろうか』、と

私たちの日常は、大きなうねりの中にあります
言われ尽くしていることですが
合理化や効率化は生産性の拡大と利潤の追求のため
そこに働く人々には日々の努力と進歩が求められます

そこでは、目的やヴィジョンという名の安心材料を持たない者は
軽視され、煩わしげに遠ざけられてしまいます

また、こうした社会的な側面だけでは飽き足らず
ひとりの人間に戻ろうとする場面においても
家族や友人や恋人の目を気にしたり
或いは一切の関係性を断絶し
孤独な死を覚悟する人が出てしまうような空気を漂わせるのです

『ヒトリ主義Night』に集まってくるアーティストも
おそらく日々の営みはこうしたものと変わらないでしょう
社会性と一個人の在り方との狭間で日々悶絶し
それでも自分の舞台に向けて、創造を止めない
日々くり返される連続に風穴を開けるもの…
それが彼らの表現だと私には感じられます

また、観客がアーティストの表現に立ちあうとき
その場には不思議な共振が生れていると私は確信しています

観客もそれぞれの営みの中に生きています
それは、アーティストも同じ
同じ日々の連続性を生きる者同士が1つの時間と空間をともにするとき
そこには共通の体験が開かれるのではないでしょうか
それこそが、営みを支え続けるための「祭りごと」かもしれません



人智を超えた自然のふるまいと
小さいけれどチクチクと刺さってとれない棘たちと
どれもこれも内包しながら生きていくのが人間ならば…

いや、そんな中でも人間らしく生きていくためには
私たちひとりひとりが一個人としての在り方を
時折思い出すことが必要でしよう

自分が何を感じ、誰を想い、どうしたいと願っているのか
そんな気づきのスイッチを押してくれるのが
表現から生まれるエネルギーだと思えてなりません

今年も、あふれるエネルギーを
松本の山奥から立ち昇らせようと思います

どうぞ、足をお運び下さい
アーティストとともに、みなさまのご来場をお待ちしております
吹き抜ける風の感触を、ともに味わいましょう

心をこめて

2012年8月15日
Arts&theater→Literacy
亀田恵子






会場のヴィオパーク劇場で豊科インターから車で約15分


興味のある方は

●Arts&theater→Literacy

●ヒトリ主義Night2012

●竪穴式表現空間・ヴィオパーク劇場

で検索をお薦め







  


Posted by かとうさとる at 15:36 | Comments(0) | アートの現在