2012年08月19日

なぜか今、チャン・イ―モウ「HERO」に思う














朝に道を聞かば
夕べに死すとも可なり



月日の発つのは早いもので
中国の巨匠チャン・イ―モウ監督の代表作といえば

「初恋のきた道」
「HERO」
「LOVERS」
「単騎千里を走る」が思い浮かぶ

一点を選べと言えば、チャン・ツィーファンの私は迷ってしまうが
品格、色彩の美しさ、ベジャールの群舞を思い起こせる戦闘シーンなど
心を鬼にしてジェット・リーが主演の「HERO」を選ぶ






今朝目が覚めると居間でカサブランカが一斉に開花


あらすじは中国戦国時代の末期秦王(後の始皇帝)と
秦王の命を狙う無名の刺客『無名』と
中国最強といわれる3人の刺客
長空、飛雪、残剣の葛藤を描いたもの

刺客にとって最大の障害は
宮殿の外を守り固める衛兵に加えて
忠実な家臣たちを除いて常に百歩以内の距離には
誰も近づけさせないという秦王の鉄壁の防御






最強の3人の刺客から命を託されたのは
十歩の距離なら確実に相手をしとめる「十歩必殺剣」という
技をあみだしたジェット・リー扮する『無名』

刺客を倒した褒美に一歩、また一歩と
秦王に近づくことを許される『無名』

射程距離の十歩に近づいたとき
初めて最強の刺客が『無名』と気がつく秦王
ことの急変に宮殿にかけつける衛兵

あとは映画を見ての楽しみで省くが
チャン・イ―モウはここからどんでん返しを用意

残剣が無名に託した朱墨の大字書で
民を治める王としての心構えを説いた残剣の本心に触れ
「初めて私の心の内をわかってくれた知己を得た以上
ここで命を捨てても悔いはない」と
愛刀を『無名』になげる秦王

「今の言葉を忘れるな」と
自らの命と引き換えに「十歩必殺剣」を寸止めする『無名』

「朝に道を聞かば夕べに死すとも可なり」
という言葉があるが
暴君と恐れられた秦王にしてこの潔さ

原題が「英雄」とあるように
チャン・イ―モウは「英雄」(リーダー)の志と潔さを
秦王と4人の刺客をテキストに伝えたかったのではないか







昭和の森に沈む落日(愛知県緑化センター)


いいトシして何んか青臭いことを書いてしまったが
あれこれと思うことが多く
わからないことばかりでご容赦を

  


Posted by かとうさとる at 16:43 | Comments(0) | らくがき帖