2012年03月25日

松田隆作個展カーネーション物語ラストファイナル 










私たち世代の重要な仕事の一つは
後世の史家に正しい手掛かりを残すこと



私の場合で言えば「現代いけばなの展開」だが
いけばな文化研究所の看板を掲げているが観客に毛が生えた程度で
挙げた手の降ろし場所に困っているのが実情
もし、その任を期待されている人がいたとしたらご容赦いただきたい







    2008年 Stichting Kunstboek社より発刊された
    RyusakuMatsda-ContemporaryFloralArt 


その前に、いけばなを「史」として大雑把に概観すれば
「仙伝抄」に代表されるいけばなの黎明期
二代目池坊専好と大住院以信がしのぎを削ったいけばなの爛熟期
江戸の粋を体現した生花の時代
小原雲心がひらいた盛花の時代
勅使河原蒼風がひらいた前衛いけばなの時代
に括ることができるのではないか







花⇒タケノコ、タケの枝、石/場⇒蕉雨園(東京)(松田隆作作品集より)


蓋棺事定では遅い

問題は私も関わっている同時代性の現代いけばなだ
アートがマーケットで判断される経済至上主義の風潮の中で
未だ知る人ぞ知る域を出ず、絶滅危惧種の一歩手前というのが
私の認識で、いけばなは無論、日本美術にとっても
不幸な状況と言わざるを得ない

借り物のアートの翻訳でコト足りているように見える
日本の美術館の制度(ギルド)もどうかと思うが
もし、仮に目利きのキューレターがいて
森美術館で現代いけばな展が実現したとしたらどうか

その確かな造形と空間の支配力に
民俗を源流とする現代いけばなの到達点を誇りとすることは
想像に難くなく、蓋棺事定では遅い!







写真はいけばな雑司ヶ谷2011から
松田隆作さん(前右)草月の日向洋一さん(前左)
大和花道の山田尚俊さん(後左)古流かたばみ会の大塚理司さん(後右)



そんな現代いけばなのトップランナーの一人が松田隆作さんである
私が言う現代いけばなのトップランナーとは
「中川幸夫」という前人未到の頂をそれぞれのルートで越えていった
孤高な者たちに与えられる仮の称号で、これ以上の説明は不要




その松田隆作さんから
カーネーション物語-ラストファイナル-
の案内をいただいた



20年間にわたってカーネーションを擬人化した物語を綴ってきた
松田さんの「カーネーション物語」の最終章
予感はしていたが「ついにきたか」というのが正直な感想で
今は語る言葉が見つからない







表現としてのいけばな(名古屋市民ギャラリー)1994年


私が松田さんのカーネーション物語の連作を初めて目にしたのは
名古屋市文化振興事業団が主催した「表現としてのいけばな」展だった

自作の紙製人形と三万本のカーネーションの花弁
一万本のバラの花弁と石で演出した「花たち」のショーに絶句!
この時はまだその後に続く物語の展開を知る由もなかった







GALLERY MAKI(東京)


次に私が松田さんの「カーネーション物語」を観たのは
美術評論家の三頭谷鷹史さんが企画したGALLERY MAKIの個展

私が最も衝撃を受けた個展の一つで
表現としてのいけばなの華やかなイメージは消え
両性具をもったミューズの妖しさに言葉を失った



で、こちらが松田さんから届いた
「カーネーション物語」の最終章











■会期⇒4月4日(水)-16日(月)(火曜日休廊)

■時間⇒11:00-19:00(最終日は17:00まで)

■会場⇒麻布十番ギャラリー
〒106-0045港区麻布十番1-7-2エスポアール麻布102
☎03-5411-3900




参考までに
表現としてのいけばな展を
簡単に記すと







ポスターは大坪光泉さんの「植物人間」


主催は名古屋市文化振興財団
企画したのは美術評論家の三頭谷鷹史さん
石田流家元の石田秀翆さんと私の三人

現代いけばなの第一線で活躍する作家十人が個展形式で
表現としてのいけばなを競ったこの企画展は
伝統的ないけばな観を覆すエポックとして全国に発信された






朝日新聞



日経新聞



毎日新聞



朝日新聞



日本女性新聞



中日新聞

左の黒い服はタレントに転向する前の假屋崎省吾さん  

  


Posted by かとうさとる at 00:11 | Comments(0) | いけばなから