2009年10月26日

とよた市民野外劇が私に遺した宿題


持っていたカードを全部使い切る

職にあった当時、私が最後のライフワークとしたのが市民総参加の野外劇の制作で、8年近い歳月をかけた市民運動が実り、平成15年8月、出演者総数2400名、スタッフ総数575名、入場者9355名という国内最大規模の市民野外劇「衣の里夢大地」に発展。真夏の夜のファンタジーとして幕をあけた。


とよた市民野外劇が私に遺した宿題

写真は国内最大規模の市民野外劇となった「第1回とよた市民野外劇/衣の里夢大地」から
第2部/挙母藩をゆるがした「加茂一揆」の騒動と時代の夜明けを描いたシーン。



3年後の平成18年には、平成の大合併を記念したショー形式の歴史ドラマ、第2回とよた市民野外劇「クルマのまちの誕生」を豊田スタジアムで上演。市民文化の黎明期からアートマネージャーとして関わってきた私の役割はピリオドを打った。

悔いはないはずなのに、私は何か大事なことを見落としてきたような気がしてならない。私がこんなことを思い悩む(?)のも、このブログでも紹介した農村舞台の問題とあわせて、地域に何かお返しをしなければ、と考えているからである。その見落としたものの答えが思いもかけないところで見つかった。


星野知子の言葉に絶句

5夜連続で放映したNHK「日本の祭り2009」を見た。番組は19日(月)高知よさこい祭り、20日(火)博多祇園山笠2009、21日(水)青森ねぶた祭、22日(金)YOSAKOIソーランナイト2009、23日(金)こころ踊る天水の夏「徳島阿波おどり」の順に紹介。欲を言えば八尾の「風の盆」が見れたら最高だが、これ以上の贅沢は言えない。NHKに感謝。

前述した「思いもかけないところ」というは、この「日本の祭り2009」のことで、「徳島阿波おどり」のゲストに招かれた徳島出身の女優星野知子は、慣れ親しんだ「阿波おどり」の体験を語ったあと、『「阿波おどり」をここまで(文化)に育てた地元を誇りに思う』という意味の感想を述べた。絶句したのは「育てた」という箇所で、私の心の中で溜まっていた澱が堰を切ったように流れ出した。


創る力と育てる力

私に欠けていたもの、見落としてきたものの答えが「育てる」という言葉だったとは、意外な結末だが、納得。「育てる」ことは「創る」ことと同じ創造することであり、「育てる力」が人を創り、伝統を創り、地域を創り、国を創ることは過去の歴史が証明しているからである。私の経験が少しでも「育てる」側の人たちの役にたてればと願っている。


写真でふりかえる第2回とよた市民野外劇


とよた市民野外劇が私に遺した宿題

写真は「第2回とよた市民野外劇/クルマのまちの誕生」から第1部「まほろば」のファーストシーン。私は制作部長として構成台本と舞台美術を担当。物語は正面の巨樹の嫗(おうな)の語りで進行。私は市民野外劇で持っていたカードを全部使いきってしまったが悔いはない。


とよた市民野外劇が私に遺した宿題

第2部「クルマのまちの誕生」では、市民オーケストラと合唱団がベートベンの第九交響曲「歓喜の歌」の大合唱。


とよた市民野外劇が私に遺した宿題

第九交響曲にあわせたマーチングバンドカラーガ―ズの大パフォーマンスには、日本一に輝く愛町マーチングバンドが特別出演。


とよた市民野外劇が私に遺した宿題

第2部「クルマのまちの誕生」の市民大交流ではピッチに飛び入りの市民も。いつもはトヨタ博物館で展示してあるトヨタAA型乗用車も特別出演。(ステージ中央)


とよた市民野外劇が私に遺した宿題

子どもたちの大合唱にあわせてペンライトの光がゆれる第3部「新たな旅立ち」のフィナーレ。


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Posted by かとうさとる at 07:00 | Comments(0) | とよたの文化
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