2016年09月03日

差別化への挑戦がはじまったあいちトリエンナーレ








過日、地元の愛知で開催中の
「あいちトリエンナーレ」に足を運んだ


あいちトリエンナーレの経緯は省くが
横浜トリエンナーレ、越後妻有アートトリエンナーレ、
瀬戸内国際芸術祭と並ぶ国内最大級のアートイベントの一つで
今年で3回目を迎えた



差別化への挑戦がはじまったあいちトリエンナーレ


  書店で販売されている公式ガイドブック  
  定価1,300円(1204円+税)




「あいち」の特徴は

最先端の現代美術をはじめ
ダンスやオペラを上演する舞台芸術や映像プログラムなど
多様なアートの現在を一堂に会して紹介

乱暴な言い方をすれば「アートのオリンピック」のようなもので
今回は、38の国・地域から119組のアーティストが参加



差別化への挑戦がはじまったあいちトリエンナーレ


  あいちトリエンナーレの記事は
  中日と朝日が競っているがこんな競争なら大歓迎

  記事は7月6日発行の中日新聞より転載したものだが
  「あいち」の経緯と概要と課題
  国内の主な芸術祭との比較表を提示するなど
  切り口がシャープ



ちなみにここでは触れないが

舞台芸術(パフォーミングアーツ)には
サーカスやフラメンコ、民俗舞踊など
コアなファンにはたまらないプログラムが満載

「映像プログラム」には
世界各地で活躍する作家のドラマや
ドキュメンター、アニメーションの話題作や最新作が
上演されるというから国際映画祭のようなもの

詳しくは公式ガイドブックが市販されているため
最寄りの書店でどうぞ



差別化への挑戦がはじまったあいちトリエンナーレ


  こちらは国際展のフリーチケット



さて、足を運んだと言っても

会場が尾張の名古屋、西三河の岡崎、東三河の豊橋の3都市と広域
1日で見られる距離ではない

私が見たのは未だ名古屋会場のみだが
都会の中の移動は里山や里海と違ってハード

そんな訳で順路は中核会場の愛知県美術館を起点に
予め見たい作品をマークしてピンポイントの移動をお薦め



差別化への挑戦がはじまったあいちトリエンナーレ



移動のサプライズ

今回の中核アーティストの大巻伸嗣さんが
プリウス(写真)と人力のベロタクシーを
トリエンナーレ仕様にデザイン

プリウスは展示のみだが
ベロタクシーは土曜日・日曜日・祝日に運行するため是非
但し順番待ちになることが多いためご了承を
料金は無料、但し入場券の提示が必要


「あいち」の
差別化への挑戦がはじまった


あいちトリエンナーレの端緒は
ポスト万博という記事を読んだことがあるが
残念ながら後発の「あいち」は内向きな土地柄とプレゼン下手で
苦戦を余儀なくされてきたというのが
大方の見方(評価)ではないか

いろんな意見はあるが
一言でいえば「あいち」らしさの希薄に尽きるのではないか

アートイベントも生き残りをかけた時代である
もし、私が他の国際展の芸術監督になったとしたら
千年の歴史をもつ焼き物(クレイワーク)や
産業を支えるインダストリアルデザインなど
「ものづくりの文化」という土壌をスルーした「あいち」など
怖くない

このことについて
昨年4月1日付けの朝日の記事によると
今回芸術監督に就任した港千尋は
「技芸の場所であることは確か。
ただ技芸を紹介するための
トリエンナーレじゃない。
現代美術の最先端を見せるのが最大の使命。
その上で、愛知独特の材料や風景を
新たな表現で主張する作家が入ってきても
おかしくない。
ここでやるわけだから
考えてもいいと思っている」
と話している。




差別化への挑戦がはじまったあいちトリエンナーレ


  こちらが芸術監督の港千尋
  8月8日発行の朝日新聞より転載 



長々と引用したが
会場を一巡した感想を一言でいえば
この港千尋の言葉を
キーワードにすると分かりやすい

愛知という風土への回答というよりも
挑戦状をたたきつけられたようなもので
このぐらい戦ってくれると
気持ちがいい




最後に作品の一部を紹介




差別化への挑戦がはじまったあいちトリエンナーレ


差別化への挑戦がはじまったあいちトリエンナーレ


差別化への挑戦がはじまったあいちトリエンナーレ


  顔料で描いた無数の花や鳥で床一面を彩った
  岐阜市出身の大巻伸嗣さんの作品
  美は感動というが説明不要で
  みんな無言  

  ガイドブックを開いていて気が付いたことだが
  今回のトリエンナーレは大巻伸嗣、岡部昌生、森北伸など
  一人で複数の会場を掛け持ち?しているアーティストがいる
  トリエンナーレの顔を指名したようなもので
  アーティストの差別化だが勇気がいる決断で拍手

  最後に余談に逸れるが
  現代いけばなの松田隆作や谷口雅邦が
  この空間に挑んだとしたらどうか

  確かに大巻さんの仕事も衝撃だが
  一般の人が見たことのない有機的な空間が誕生したはず
  知られていないことの損失で
  ちょっと悔しい
  
  


差別化への挑戦がはじまったあいちトリエンナーレ


  こちらはこのブログでもイチオシしてきた
  豊橋の味岡伸太郎さんの作品

  県境を豊橋から西に回り伊勢湾を望む木曽岬まで
  1500㌔の行程から70か所の土を三層分採取し  
  会場で採集順に展示したもの

  「ただ技芸を紹介するためのトリエンナーレじゃない」と言った
  芸術監督の港千尋の言葉を重ねると
  この作品のトリエンナーレに占めるポジションが
  理解いただけるのではないか

  ちなみに豊田市内は小原地区の田代で2カ所
  藤岡地区の白川の1カ所で採集
  興味のある方はどうぞ

 

差別化への挑戦がはじまったあいちトリエンナーレ


  衣服を主題に装う西尾美也さんと
  建築家ユニット403architecture[dajiba]による
  観客参加型のプロジェクト

  好きな衣服を自由に試着できるそうだが
  人が身に纏うものの存在感は不思議




差別化への挑戦がはじまったあいちトリエンナーレ


  名古屋市美術館から炎天下
  旧明治屋栄ビルまで歩いたがえらくて(方言かも)
  腹がたってきた。もしこの作品に出合わなければ
  絶対悪態をついたと思う

  強力な光源に落ちた水滴は一瞬にして水蒸気となり
  やがてまた水滴となって循環
  悪魔の儀式を目の当たりにしたような衝撃に足が竦んだ

  ガイドブックによると
  作者の髄聡さんは札幌国際芸術祭の地域ディレクターを務め
  大型のインスタレーション作家として知られているそうだが
  世界は広い

ざっと
あいちトリエンナーレの印象を記したが
百聞は一見に如かず
是非お出かけを


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Posted by かとうさとる at 07:39 | Comments(0) | トリエンナーレ
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