2009年01月25日

焼き物の常識を超えた 鈴木五郎





焼き物の常識を超えた 鈴木五郎

   「ただくさに作らんと頭が腐る」と鈴木五郎さん。
   「だだくさ」は、三河弁の「ものが腐るほど多い」という意味で、
   奥のギャラリーに四都市展の作品が焼き芋のように並べられていた。


私が鈴木五郎を推す理由


もし、私がヴェネチアビエンナーレの日本館キューレターであれば、第一に「現代いけばな」を取り上げるのは当然だが、心を無私にすれば鈴木五郎を推す。数寄や侘・寂と言った陳腐なジャポニズムではなく、時代を突き抜けた真に力のある伝統の現在こそ、アートのオリンピックと言われるヴェネチアビエンナーレに相応しいと思っているからである。

作品は「呼継」や「弥七田」の大壺や巨大な椅子、土瓶など、鈴木ワールドで決まりだ。五郎さんの巨大な作品群は、焼き物の常識を超えているため、全容を見る機会が少ないのは残念というよりも、日本美術の損失で、美術館のキューレターはどこを見ているのか、と不思議でならない。ちなみに「大壺の大きさの限界は?」と聞いたところ、「そんなもんお金出してくれれば(窯を作る費用)いくらでもできる」と煙草に火をつけた。

五郎さんはプロデュース感覚も秀逸で、明治村茶会の野点の美しさは他に比類がなく絶句。季刊誌TAIKIの創刊号で特集されているため必見。「本」の問合せは、03-3341-7183。もう一つは、アラビア半島のイエメンで、砂漠の真ん中に巨大な焼き物のモニュメントを林立させるというアートプロジェクトで、現地の砂漠の砂で焼いたというテストピースを見せてもらったが、実現すればW・デ・マリアの「ライトニングフィールド」と並ぶアースワークが誕生するはずだ。まあこちらはアラビアンナイトの世界で夢物語だが、「オレは頼まれたことをやるだけで、あとは知らん。かとうさんもやらんかん。」と、煙にまかれてしまった。


焼き物の常識を超えた 鈴木五郎

   鈴木五郎さんの工房(豊田市折平町)。窯の数は失念したが、穴窯、ガス窯、
   電気窯を用途に応じて使い分け、地下の倉庫には大量の土が寝かされていた。



焼き物の常識を超えた 鈴木五郎

   鈴木五郎 陶芸呼継の世界展より「呼継大壺」(豊田市能楽堂)


鈴木五郎の四都物語


その五郎さんから「鈴木五郎の四都物語」の案内が届いた。「四都物語」と言えば、NHKBSの特別番組「とっておきの美術、ドイツ、オーストリア四都市物語」を見たことがあるが、こちらは高島屋美術部創設百年を記念したもので、東京、横浜、名古屋、大阪の四都市で同時開催という画期的な新作展で、お薦め。
■平成21年2月18日(水)→24日(火)<4会場同時開催>
黄瀬戸:東京展=高島屋東京店6階美術画廊
呼継:横浜展=高島屋横浜店7階美術画廊
織部:名古屋展=JR名古屋高島屋10階美術画廊
志野:大阪展=高島屋大阪店6階美術画廊



焼き物の常識を超えた 鈴木五郎

焼き物の常識を超えた 鈴木五郎

焼き物の常識を超えた 鈴木五郎

焼き物の常識を超えた 鈴木五郎





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Posted by かとうさとる at 17:28 | Comments(0) | アートの現在
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