2010年09月03日

農村舞台プロジェクト(16)経緯とアート部門の概要


豊田市は農山村型の顔をもった
自動車生産都市


平成17年の市町村合併で、豊田市は足助町、旭町、稲武町、藤岡町、小原村、下山村の4町2村を編入合併した。岐阜県、長野県と県境を接し、面積918平方キロメートルで県内最大。内7割が森林という農山村型の顔をもった自動車生産都市に生れ変わった。


農村舞台プロジェクト(16)経緯とアート部門の概要


豊田市の北部から南部を大きく蛇行して流れる矢作川
下流に見えるのは旧足助町と旧藤岡町を分ける加茂橋



78棟の農村舞台が判明

農山村型都市を象徴する一つが、旧町村を中心に現存する農村舞台の存在で、昨年からの調査によると78棟を数えることが判明した。中には文化5年(1808年)に建てられた中金町の市有形民俗文化財の岩倉神社農村舞台のように、回り舞台のある本格的な舞台もあるが、ほとんどは忘れ去られ、消滅の危機に瀕している実態も浮かびあがってきた。

農村舞台というのは、農山村や漁村にある近世芸能舞台で営業用でない舞台の総称で、北は秋田から南は宮崎、鹿児島まで日本各地に分布。この内、岐阜県の飛騨・東濃地域、長野県の南信州地域、豊田市の東~北部地域に約1/3の舞台が密集し、拝殿型農村舞台文化圏を形成していることも明らかになってきた。


農村舞台プロジェクト(16)経緯とアート部門の概要


有志で農村舞台を調査。背景の舞台は嘉永5年(1852年)に
建てられた明川町熊野神社農村舞台(旧足助地区)


伝統を継承する
農村歌舞伎保存会


豊年を祈願する春祭り、実りの秋を祝う秋祭りに、余興行事の農村演芸を行う場として、神社境内に舞台が建てられたのは江戸時代も後半になった頃。娯楽の乏しかった農山村にあって、一年の最大行事である氏子の祭礼に奉納される農村舞台は、華やかで文字通りの桧舞台になったことは想像に難くない。


農村舞台プロジェクト(16)経緯とアート部門の概要


平成18年8月27日(日)豊田スタジアムで上演した
第2回とよた市民野外劇で口上を述べる農村歌舞伎連


ちなみに農村舞台で演じられたのは、アマチュアの村人が役者を演じた地芝居と、旅回りのプロの役者を招いて上演した買芝居の二種類が中心だった。一般に農村歌舞伎といわれるのは地芝居を重ねる内に、村々の出し物に特色が生れ、座を形づくったもので、市内においても伝統の小原歌舞伎をはじめ、旭歌舞伎、石野歌舞伎、藤岡歌舞伎などがよく知られている。

農村舞台は絶滅危惧種

ざっと豊田市と農村舞台の関係について記したが、前述したように農村歌舞伎保存会の活動はあるものの、現存するほとんどの舞台は忘れ去られ、今では農村舞台と知る人も少なくなった。


農村舞台アートプロジェクトを
立ち上げる


こうした農村舞台の再評価に向けて火をつけたのは、当時豊田市議会議長をしていた八木哲也さんで、同氏の働きかけで、市内の芸術家有志がテーブルについたのは昨年10月。旧町村の各支所、豊田市文化振興財団が有志を支える形で実行委員会を組織。一年を待たずして農村舞台のマップを作成。農村舞台アートプロジェクトを立ち上げた。


農村舞台プロジェクト(16)経緯とアート部門の概要


農村舞台のマップはB2版4折で5千部を印刷。
既に各支所を通して配布済みで残部数は少なくなったが
希望者は文化振興財団文化部℡0565-31-8804まで照会。


農村舞台アートプロジェクトの目的は
1 農村舞台を知ってもらう
2 農村舞台を使って可能性を探る


農村舞台アートプロジェクトの目的は、平成23年の市制60周年の本格的な事業展開を前に、先ず「農村舞台を知ってもらおうう」「農村舞台を試験的に使ってみよう」という二点。前者はマップの作成。後者は旧町村を中心に第一部アート、第二部ライブに分けて、農村舞台の可能性を探るもので、プログラムは次のとおり。

第一部アートプロジェクト

現代のアートの第一線で活躍する市内のアーティストが農村舞台の空間に挑む個展形式のプロジェクト。

農村舞台プロジェクト(16)経緯とアート部門の概要


かとうさとる
農村舞台で豊年祀り(公開中)

農山村の必需品の菰200枚と荒縄によるインスタレーション。
9月3日(金)午後半世紀ぶりに回り舞台を回す予定あり。
期間:9月26日(日)まで
会場:深見町磯崎神社農村舞台(旧藤岡地区)

農村舞台プロジェクト(16)経緯とアート部門の概要


市川明徳
書と灯りのアート展(公開中)

近づくとセンサーが作動(見ての楽しみ)
期間:9月12日(日)まで
会場:榊野町野見神社農村舞台(旧旭地区)


農村舞台プロジェクト(16)経緯とアート部門の概要


伊丹靖夫と野入の人たち(公開制作中)
豊田芸術選奨を受賞した伊丹靖夫さんと
野入の人たちが協働制作に挑む。
期間:9月6日(月)~12日(日)
会場:野入町神明神社(旧稲武地区)


農村舞台プロジェクト(16)経緯とアート部門の概要


中根栄二と理と農村舞台(制作準備中)
次代を担う俊英作家が農村舞台にユニットで挑む。
期間:9月6日(月)~12日(日)
会場:細田町神明神社農村舞台(旧足助区)


農村舞台プロジェクト(16)経緯とアート部門の概要


加納恒・茂登美の
風のギャラリー(制作準備中)

小原和紙の新たな世界にチャレンジする加納恒さんと茂登美が
ユニットで農村舞台にチャレンジ。
期間:9月13日(月)~19日(日)
会場:大坂町熊野神社農村舞台(旧小原地区)


農村舞台プロジェクト(16)経緯とアート部門の概要


鈴木真幸登|秋を彩る(制作準備中)
豊田市華道連盟理事長の鈴木真幸登さんが
農村舞台を秋色に染める。
期間:9月20日(月)~26日(日)
会場:西広瀬町八釼神社農村舞台(旧石野地区)


農村舞台プロジェクト(16)経緯とアート部門の概要


石川泰弘先生の課外授業(制作準備中)
美術教育のエキスパートでモダンアート協会の石川泰弘さんが
子供たちを美術大好き人間に導くプロジェクト。
期間:9月20日(月)~26日(日)
会場:阿蔵町須賀神社農村舞台(旧下山地区)

ライブプロジェクトは作成中


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Posted by かとうさとる at 02:23 | Comments(0) | 農村舞台
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