2016年08月29日

農村舞台アートプロジェクト2016の開幕迫る(上)





近年アートイベントは
都市や地域の元気力を象徴する祝祭として定着
一説によると全国で大小合わせると100近いというから
まさに花盛りといっていい

この夏も「あいちトリエンナーレ」(愛知)
「瀬戸内国際芸術祭」(香川)の2大国際展のほか
古都奈良では、日本・中国・韓国の3か国が交流を深める
「東アジア文化都市2016奈良」が開催中で
まさに選り取り見取り

日本中がアートのテーマパークになったようなもので
アートを大事にしたい私にとって悪い話ではないが
雨後の筍のような増え方は何か薄気味悪い

余談に逸れたが
農村舞台アートプロジェクト2016について
(上)概要編、(中)ライブ編、(下)アート編の3回に分けて
記したい





  農村舞台で初のアート展示となった私の作品
  夕闇が迫る頃、舞台に火を灯すと
  モダンダンスの野々村明子さんと
  現代フルートの真野利郎さんの
  幻想的な儀式がはじまった(1988年)




農村舞台というのは

農山村や漁村にある近世芸能舞台で
営業用で無い舞台の総称で
角田一郎編『農村舞台探訪』(和泉書院)によると
北は秋田から南は鹿児島まで日本各地に広く分布しているが
中でも豊田市の北部から東部にかけた中山間地から奥三河
岐阜県の飛騨・東濃地域、長野県の南信州地域にかけて
約3分の1の舞台が集中し
神社拝殿型の農村舞台文化圏を形成していることが判明している




  農村舞台の基本的な構造と仕組み
  挿絵は中村広子さん(絵本作家)



農村舞台アートプロジェクトは

東日本大震災が起きた2010年
こうした農村舞台群を今に生きる文化資源として活用し
「アートで地域の絆を繋ごう」と
市内のアーティストたちが中心になって
立ち上げたアートプロジェクトです

内容は
農村舞台の空間に個展形式で挑む「アート」
農村舞台を現代の芝居小屋に見立てて
多様な舞台芸術で挑む「ライブ」で構成





  浅谷町八王子神社農村舞台に美しい灯りの茶室を立てて
  五郎茶会で鑑賞者をもてなした鈴木五郎さん(2011年)



これまで
「アート」は

現代の織部と称えられる陶芸家の鈴木五郎さんをはじめ
ノミネートで選出された延50組のアーティストが参加
「ライブ」は
イタリアのプッチーニフェスティバル『蝶々夫人』で
世界デビューを果たした二宮咲子さんが農村舞台に登場するなど
延32公演を開催
農村舞台の魅力と可能性を内外に発信し現在に至っている




  深見町磯崎神社農村舞台のオペラ『蝶々夫人ファンタジー』で
  アリアを熱唱する二宮咲子さん(2011年)







  ■前期(ライブ)⇒9月18日(日)~10月2日(日)
  ■後期(アート)⇒11月19日(土)~11月27日(日)
  ■主催⇒公益財団法人豊田市文化振興財団
  ■後援⇒豊田市、豊田市教育委員会
  ■主管⇒農村舞台プロジェクトチーム
  ■問合せ⇒公益財団法人豊田市文化振興財団文化部文化事業課
  ☎0565-31-8804


7年目を迎えた本年度は

「アート」をノミネート方式から全国公募に
また明治の初めに途絶えた
小田木人形座の復活に向けた取り組みに続いて
新たに少子高齢化で存続が難しくなった
市内唯一の楽屋付き農村舞台「寶榮座」の
再生に向けた取り組みが新たにスタートします


農村舞台アートプロジェクトは
規模も小さく
しかも地理の不案内な山里で
振り向く人も限られていますが
山に登った人に素晴らしい
眺望というご褒美が待っているように
アートやライブでおもてなしできるよう
準備万端整えて皆さまのお出かけを
お待ちしています
ご予定に入れて頂ければ幸いです
  


Posted by かとうさとる at 05:01 | Comments(1) | 農村舞台