2013年02月06日

春の風を運ぶスイートピー









私が子どもの頃は
どの家にもお花畑があった



花をつくるのは大概お祖母さんで
苗を買いに走るのは子どもと決まっていた

中でも「おためし」と呼ばれる「花の橈」の日は
センニチボ、コンギク、キンセンカなどなど
覚えきれないほどの花の名前を紙に書いて
電車に飛び乗った

花といっても丈夫で長持ちする地味な花ばかりだが
よくしたもので露店のオバちゃんたちも心得ていて
紙をみせるとすぐ新聞紙に包んでくれた

丈夫で長持ちは道理で
当時、お花は仏さんやお墓にお供えするものと
決まっていたからである







花:スイートピー
器:吉川正道さんの青磁



そんなとき近くの家の畑で
風にゆらゆら揺れている花があった
花の名前を聞くとスイートピーと教えてくれた

仏さんにお供えする花を見なれていた私にとって
無心に咲いているスイートピーの美しさは清々しく
思わず息をのんでしまった

今でも目を閉じると
あのときの青い空とスイートピーの花が
走馬灯のように浮かんでくる

叶うなら
もう一度あの頃に戻ってみたいもの  


Posted by かとうさとる at 01:18 | Comments(0) | 花日記