2009年11月18日

境界を越えて生活や地域の中に生きるアート


今に生きるものづくりの文化の遺伝子

東海地区は猿投古窯の時代から最先端のロケット技術まで、千年の余にわたって「ものづくりの文化」を育んできた。こうした気質が遺伝子にあるのか、連綿として前衛であり続ける現代陶芸の旗手たちはもとより、岩田信市世代から三頭谷鷹史・茂登山清文世代まで職人的一途さ(誇り)をもったアーティストや批評家が多い。アートのビジネスモデルとは一線を画した愚直な彼らの存在が、愛知の草の根のアーティストたちを勇気づけたことは周知の史実で、私が(?)曲がりなりにも続けてこられたのも同じ理由で、感謝以外の言葉を知らない。


境界なきアート展~響きあうココロへ~

前置きが長くなってしまったが、こうした愛知の愚直な心意気を引き継いで活動しているのが、NPO法人愛知アート・コレクティブ代表の鈴木敏春さんである。鈴木さんは、アートデュレクターとして環境問題をアートで提案した「無冠の表現回路・エコロジーアート」(1990年)以来、アートの社会参加の先駆け的役割を担って活動を重ね、2002年前述したNPO法人を設立。現在に至っている。

この鈴木さんがいま力を入れているのが、回想法アートと言われるアートの福祉活動で、鈴木さんは独創的で魅力的な作品を創出する障害者のアートに着目。アウトサイダーアートとして積極的に紹介するなど、境界を超えたアートによる交流を実践。こうした活動の集大成の一つとして、関係者の注目を集めているのが、豊川市桜ヶ丘ミュージアム開館15周年記念特別展として、同ミュージアムで開催される「境界なきアート展」である。アートとは何か、愚直に問い続けるあなたの答えが見つかるかも。
遠方から予定される方は、豊川稲荷も近く、お参りしてはいかが。




境界なきアート展のチラシ。モノクロの挿絵は
豊川養護学校卒業生の辻勇二さんの鉛筆画「心でのぞいた僕の街」





境界なきアート展のチラシ裏面部分。出品作家はアウトサイダーアートを代表する山下清から、長谷川哲さんをはじめ、当地の第一線で活躍するアーティストの名がずらり。私たちはこうした良心的なアーティストをもったことを、もっと誇っていいのではないか。


境界なきアート展
会期:11月20日(金)~12月19日(土)【月曜日休館】※祝日開館
時間:9:30~17:00/観覧料:一般300円(学生以下無料)
会場:豊川市桜ヶ丘ミュージアム

記念シンポジウム「境界なきアートを巡って」
日時:11月28日(土)13:00~15:30
(講師)
三頭谷鷹史(美術評論家)
はたよしこ(No-Maアートデュレクター)
岡本信也(野外活動研究会代表)

講演会「回想法アートの試み」
日時:12月5日(土)14:00~15:30
(講師)
鈴木敏春(美術批評/NPO法人愛知アート・コレクティブ代表)

問合せ
豊川市桜ヶ丘ミュージアム ☎0533-85-3775
NPO法人愛知アート・コレクティブ ☎052-882-3174







  


Posted by かとうさとる at 01:59 | Comments(0) | アートの現在