2009年11月09日

生き残りをかけたあいちトリエンナーレ





愛知県美術館ロビーで開催中のあいちトリエンナーレ2010
プレイベント現代美術の発見Ⅴ 市川武史オーロラ展のDM。



アジア最大の現代美術の祭典

少し前まで美術館は生き残りをかけた時代と言われたが、いま一部で言われているのは〇〇ビエンナーレ、〇〇トリエンナーレと言われている国際展で、狭い国内マーケットに、ピンは越後妻有アートトリエンナーレ、横浜トリエンナーレから、キリは市町村のまちおこしのアートイベントまで目白押し。関門海峡で自衛隊の護衛艦と韓国のコンテナ船の衝突事故がおきたが、国際展もまた危険水域に入ったのではないか。

私の地元の愛知県でも、来年8月下旬から10月末まで約2月余のロングランで、あいちトリエンナーレが予定されている。このトリエンナーレはポスト万博として計画されたもので、アジア最大の現代美術の祭典を目指している。狭い海峡に巨大船が新たに就航するようなもので、その成否が関係者の注目を集めている。




あいちトリエンナーレのチラシ


発信力の磨き直しが必須

私も成功を願っているが、県民レベルでどの程度浸透しているのかというと心もとない。8日付の朝日新聞朝刊で各省庁の電子申請システムの利用率が使い勝手の悪さから低迷していると報じているが、一事が万事。

ネット発信に偏りすぎて一般的意味での露出が少ないこと。ジャンル、会場が多岐にわたり、いつ、どこで、だれが、なにをして、それがどんな意味をもつのか。マーケティングの欠如(失礼)などなど、今日的な要因が複合的に重なっているためで、問題解決は容易ではない。確かに手続きなど行政的には落ち度はないかもしれないが、マネージメントの不在と同じで、軽視するととりかえしのつかないことになるのは自明。

しかも、来年はアートと海を巡る百日間の冒険を掲げた強力な瀬戸内国際芸術祭と競合するため、発信力を磨き直さないと、このままでは遅れをとることは必至。もちろん勝ち負けで言っているのではない。チャンスはピンチというように細心の注意をしないと、期待が大きいだけにアート不信につながる危険性を危惧しているからである。(危機管理の問題)




瀬戸内国際芸術祭2010のチラシ


アートで万博
愛地球博の遺産を使わない手はない


これは乱暴な私見だが、ここまできたら愛地球博の遺産を使わない手はない。「アートで万博/あいちトリエンナーレ」を強力に発信したらどうか。あいちにおけるジャンルの多様性は、三年に一度の開催を意味するトリエンナーレだけでは説明できないが、「アートで万博」とすることで、およその理解は得られるのではないか。生き残りをかけた国際展の時代において、明快なメッセージを発信することは不可欠で、手をこまねいている時間はない。



市川武史オーロラ展(観覧無料)

市川武史オーロラ展は、あいちトリエンナーレ2010プレイベント現代美術の発見Ⅴ として企画されたもので、市川武史さんは、ロンドンを中心に浮遊する彫刻作品で国際的に活躍。私が関わった日英アートフォーラムで一緒にしたが、繊細でシャープな感性と若さを眩しい思いで仰ぎ見たことを覚えている。今回は初めて絵画作品を手がけたということだが、シャープな浮遊感はさすが。





市川さんは作品制作のためスウェーデン北端の小さな町を訪れ、オーロラに触発されてこの絵画を制作したとのこと。オーロラ展は愛知県美術館 ロビーで、12月13日(日)まで。関連企画としてサウンドパフォーマンス市川武史×建畠哲(詩人)を11月20日(金)18:30-19:30 同美術館10Fラウンジで予定。  


Posted by かとうさとる at 02:44 | Comments(0) | アートの現在