2009年09月09日

妻有ギャラリー(5)蓬平から桐山へぶらりぶらり


空を見上げると
一面に鰯雲が広がっていた


昨日、丹羽隆夫展のオープニングも無事終えた。懸案の作品の保存については、前市長で名誉市民の加藤正一さんが同席した美術館長に「作品の収蔵について検討できないか」とあいさつしたことで、ひとまずボールは投げられた。改めて、亡くなった人をどのように「史」として評価するのか否か、同時時代に生きた人間の大切な役割の一つということを実感。私もその責を逃れることはできない。今朝空を見上げると一面に鰯雲が広がっていた。雲の向こうに紙を漉く小原和紙の小川喜数先生の背中を見たような気がした。どうやら予てから想を温めていた小原和紙の黎明期とその仕事を「史」として書きとめる時期がきたようだ。



古巻和芳+夜間工房
「繭の家-養蚕プロジェクト」


妻有ギャラリーの下書きをストックしていたが、気がついたらクロージングまで4日。賞味期限が迫ってきたため、このギャラリーも特急に予定を変更。各駅を飛ばして終着駅まで急ぎたい。

蓬平集落を紹介されたとき最初に案内されたのがこの「繭の家」で、そのときの気持ちのいい衝撃を今も鮮やかに覚えている。手前の長持ち風の箱を開閉すると蚕の一生が生と死というシンプルな対比で現れる仕組みで、電子化した繭の音と映像が永遠の命を刻んでいるよう。大地の芸術祭が目指したものの答えの一つが「繭の家」で、集落の民話として大切に守り継がれていくに違いない。




古巻和芳+夜間工房「繭の家-養蚕プロジェクト(蓬平)


アンティエ・グルメス「内なる旅」

機会を改めて総括で後述するが、私は大地の芸術祭を訪れた多くの人たちの背中をお遍路さんの背中に重ねて見ていた。アンティエ・グルメスさんの「内なる旅」は、そんなお遍路さんの心をとらえた。




妻有を旅してきた「内なる旅」のゴールまで
あと300メートル




二つめのカーブを曲がると馬頭観音が迎えてくれた




植生が杉木立からブナ林に代わりはじめた。
朴の木の緑が目に鮮やか




足を止めて朴の木をパチリ




内なる旅の胎内へ




黄色い梯子を登るのは誰?




御山が開けた聖なる場所に「内なる旅」のゴールがあった




心の宇宙を木立ちにドローイングした「内なる旅」。
また新たな旅へ。

  


Posted by かとうさとる at 14:44 | Comments(1) | 大地の芸術祭「蓬平いけばなの家」