2009年09月03日

妻有ギャラリー(3)津南・松之山エリア見て歩き


発電所美術館の塩田千春展を見て帰る

いけばなの家のウィークエンドイベントのため、水曜日の夜豊田を出発。帰路は、入善町の発電所美術館で開催中の塩田千春展「流れる水」を見て、富山から北陸道経由で帰宅した。

発電所美術館はオープンしたときに一度訪ねており、アクセスについては承知しているはずだったが、何度も道を間違えてしまった。余談に逸れたが、先ずは大地の芸術祭の見て歩きをリポートしたい。




塩田千春展-流れる水(展覧会図録より)


大地の芸術祭見て歩き



豊田から高速を飛ばして約4時間。映画「阿弥陀堂だより」が撮影された飯山市まで来ると十日町市まで約40㎞。逸る心を抑えるためポットのお茶を飲んでひと休み。写真は千曲川の「道の駅」から見た飯山市の朝焼け。


津南町エリア

津南町エリアは、長野県栄村と隣接する西の端に位置するため、ツアーもマニア中心になるのは仕方がないが、大地の芸術祭の格差問題の火種の危険性をはらんでいるように見えた。「北東アジア芸術村」も中心となる「マウンテンパーク津南」のメンテナンスが十分でないため、池に浮かべた西雅秋のリングが干上がるなど無残。地元とのコミュニケーションの問題だが、市町村合併のしこりが残っているとしたら作品が浮かばれない。



津南エリアを救った李在孝(イ・ジョヒョ)の作品。


松之山エリア

松代エリアと並ぶ大地の芸術祭の中心エリアで、作品の質量とも充実。ホルタンスキー+カルマン「最後の教室」は何度見ても衝撃的で、この作品に出会うため松之山を再訪する人も多いというが納得。上手く撮れていないが、今回の目玉作品は、空家の空間を蜘蛛の巣のように張り巡らした塩田千春の「家の記憶」で、私も二度足を運んだ。



塩田千春「家の記憶」の天井部分



大棟山美術博物館は、七百年近い歴史をもつ村山家旧宅と庭を博物館にしたもので、「堕落論」で知られる坂口安吾が現当主の叔父にあたるところから、安吾の貴重な遺品を展示。温泉に棚田にアートに坂口安吾まで、松之山は見どころ満載。温泉と言えば、滞在中温泉巡りをしたが兎口温泉「翠の湯」の野天風呂は野趣満点でお薦め。



三省ハウスで「妻有の杜」(作品№9 十日町エリア旧東下組小学校)をフィールドワークで記録している建築家の丹下公仁さんと面識を得たが、「社」を前に言葉はいらない。



気の向くままハンドルを切っていたら、ひと山ふた山越えた小さな集落で懐かしい昭和の匂いのする家を見つけた。家の横には大地の芸術祭の幟が立っていた。車を止めると私と同世代とおぼしき女性が目で挨拶。「作家さんですか」と聞くと「はい」と小さな声。



潮田友子「記憶の部屋下布川の人々」は、現地の人々の写真や言葉をコラージュした仕事で、空家プロジェクトの定番の一つだが、「道に迷っていただいてありがとうございました」と潮田さん。人柄も仕事も丁寧で、ビッグネームに浮かれていたわが身が恥ずかしくなった。潮田さんに感謝。










  


Posted by かとうさとる at 02:25 | Comments(0) | 大地の芸術祭「蓬平いけばなの家」