2009年06月01日

衝撃の「ヤノべケンジ-ウルトラ」展


《ウルトラ-黒い太陽》に荒ぶる怒神を見た

酸欠気味の頭を切り替えるため豊田市美術館で開催中の「ヤノべケンジ-ウルトラ」展を見た。ヤノべケンジは大竹伸朗と並んで私が畏怖する作家の一人で、巨大ロボット《ジャイアント・トらやん》が火を噴いた「キンダガルテン」から4年。満を持しての再登場で、《ウルトラ-黒い太陽》のパフォーマンスに合わせるため、美術館に急いだ。

余談に逸れるが駐車場の車のナンバーをざっとチェックしたが豊田、三河ナンバーが約3割、県内ナンバーが約4割、県外ナンバーが約3割、中には土浦、横浜、富山から九州ナンバーの車も。本展は90年代から近年の主要な作品群、制作ドキュメントやドローイング、模型、「トらやんの大冒険」の絵本原画も加え、伝説となった「キンダガルテン」を凌ぐ最大規模の最新作《ウルトラ-黒い太陽》まで、ヤノべの全容を展観するもので、人気のほども納得。



《ウルトラ-黒い太陽》のドローイング。撮影OKとのことだったが実物の迫力に絶句。


さて、肝心の「ヤノべケンジ-ウルトラ」展だが、自分は古いメディアとか新しいメディアとかいう区別に反発してきたが、今日ばかりは返す言葉もない。宮崎駿の「千と千尋の神隠し」で、傍若無人の「顔なし」が千尋に叱られてシュンとなってしまったように、目の当たりにしたヤノべの破壊力の前に絶句。無数の突起物に覆われた《ウルトラ-黒い太陽》の中に仕掛けられた人工稲妻発生装置の火花が躍るパフォーマンスは、荒ぶる怒神もかくやと、思わずその場にひれ伏してしまった。これ以上は説明不可。ヤノべの全容を記した本展を見逃す手はない。




「ヤノべケンジ-ウルトラ」展のチラシ。会期は6月21日(日)まで。手抜きで申し訳ないが、前述したような理由で展覧会の内容、ヤノべのプロフィールはインターネットで検索を。なお豊田市美術館の次回の企画展は、伝説となった衝撃の個展から14年。あのジョゼツペ・ペノーネが豊田市美術館に里帰り。会期は7月7日(火)~9月23日(日)。


初めての方に豊田市美術館をガイド



茶室童子苑側から見た豊田市美術館(2F部分)。右の遠景はトヨタ自動車㈱本社


豊田市美術館は1995年11月にオープン。設計はニューヨーク近代美術館分館を設計した谷口吉生。場所は山の学校と呼ばれていた童子山小学校があった市街地を一望する高台で、古くは紀伊徳川家から入婿して二代目挙母藩主となった内藤学文が築城した館跡。余談に逸れるが童子山小学校は私が通った小学校で、美術館は当時の地形を生かしているため、愛着もひとしお。アクセスは東名高速豊田ICから約10分。名鉄豊田市駅、愛知環状鉄道豊田駅より徒歩約15分。





美術館の目印となっている作品。ここまで来ると美術館は目の前。ちなみにスペースデザインと陶のオブジェは私の作品で、タイトルは「すわらないで」。無銘のため、ほとんどの人はこの作品が私の作品ということを知らないのではないか。




七州城の名は、三河、尾張、信濃、近江等七ヶ国の山々が眺められることから付けられたもの


七州城図(豊田の文化財より転載)。中央の高台が豊田市美術館が建っている場所。近くに隅櫓が見えるが、現在の隅櫓は復元されたもの。左上の池は現在の駐車場。ちなみに私の作品「すわらないで」の場所は、中央右の山と田んぼが接するあたりで、私が山の学校に通っていた頃はまだ図に描かれた地形が残っていた。

  


Posted by かとうさとる at 00:24 | Comments(1) | アートの現在